第689話 お飾り魔王
〈Lv.142 ナイトビーホーク〉
おっと、今度は女王を守る騎士のお出ましか。ただの労働者よりかは骨のある奴らだろうな? だが、魔王軍フルメンバーにどれくらい持ち堪えられるかな?
❇︎
はい、無理でした。
いやー流石に無理かー。いくら騎士と蜂と鷹のコンビネーションといえどもウチの従魔たちには抗えなかったようだ。
ウチのアイスなんかは射的気分で楽しんでたみたいだし、飛べない奴も何故か攻撃手段を持ち合わせていたしで一瞬で壊滅した。
え、どうやって空中に攻撃したかって? そりゃ毒とか糸とかブレスとかあるだろ、アシュラに関しては一回の大ジャンプで五体くらいまとめて撃墜してたから、流石にビビった。圧倒的な貫禄だったぞ、うん。
そんなこんなでこれにて終わりかと思ったが、最後に女王様が現れた。
配下がこんだけ派手にやられたらコソコソ隠れて逃げればいいものを、最後まで抵抗するのは、女王としての気概の現れか? まあ、俺としてはすっかり満足気分で帰ろうとしてたからな、助かった。
最後くらい俺がトドメを刺すか。美味しいところだけ、と思うかもしれないが、許せ、これがお飾り魔王の特権なのだ。
「【断罪絶刀】」
ふぅ、これで終わりだな。
「レベルアップしました」
お、久しぶりのレベルアップ。もう、いつからかレベルなんて気にしてもなかったな。まあ、上げておいて損はないだろうから、有り難く受け取っておこう。
あ、そうだ。せっかくだからこのビーホークたちの素材を持って帰ろう。あの、人間界にスパイとして送り込んでいる……名前はなんだっけ? まあ、偵察君のために装備を作ってあげよう。
初任務が見事クリアできたら報酬としてそれくらいは用意してあげないとな。それに、見た感じそんなに強くなかったから装備を与えたらそれなりには強化されてくれるだろうからな。
よし、帰るか。
❇︎
「なっ、ご、五百二体!? 五百二体も倒したんですか? 一人で!?」
ギルドに帰って報告すると、ものすんごく驚かれた。そんなに驚くことか? とも思うが、まあ、驚く基準は人それぞれだ。
「いえ、一応従魔もいますので」
ここで、俺は謙遜ムーブをする。まあ、能ある鷹は爪を隠すっていうしな。
「い、いやそれでもすごいですよ、一人であのビーホークを倒すなんて……」
あの、っていうことはそんなに強かったのか? ウチの従魔たちはアリンコを踏み潰す感覚で倒しまくってたんだが?
これはいよいよ自分の強化を真剣に考えないといけなくなったな。このままじゃ本当にお飾り魔王になってしまう。
あれは冗談のつもりで言ったんだ。だから皆、本気にするんじゃないよ? 分かったか、振りじゃないからな?
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