第690話 よーいドン!


 最終結果は五百万とちょっとだった。普通に考えたらあれだけのスピードで五百万も獲得できたのならば相当時間効率はいいのだろう。


 いいのだろうが、俺の目標金額はこの十倍だ。このままじゃまだまだ時間がかかる。さらなるスピードアップが求められる。


 と言うわけで、あの手法を解禁する。そう、同時受けだ。


「すみません、これとこれとこれと、、あとこれとこれで」


「ん、えっ、これ全部まとめて一度に受けられるのですか!? でも確かに一度に一つだけ、と言う決まりは無かった気がしますが……」


 お、案外好感触だぞ? このまま押し通そう。


「はい、大丈夫ですよ。以前もしたことがありますし、別に一日で全て終わらせよう、なんて思っていませんし、はい」


「え、一日で?」


「いや、だから一日で終わらせなければいけないってわけでもないですよね? だからどれも期限内に終わらせて帰ってきますよ」


「は、はぁ。ではわかりました。あなたのその自信と武力と幸運を信じて、受け付けましょう。ただし無理はなさらないでくださいね。ただでさえ、このギルドは人員が不足しているのですから」


「了解しました」


 よし、一度受けて仕舞えばもうこっちのもんだ。後は、また全員集合して……


『お前はこれで、お前はコッチ、で、おまえはこれだな。そして……』


 よし、魔王軍全員に依頼の割り当てを行った。これで本来は不可能なはずの依頼同時受けが成立してしまう。


 そして、ウチの従魔たちは戦闘バカなところはあるがそれを差し引いても優秀だ。だから見つけられなかったり、変な奴を倒してしまったり、と言うのはないだろう。


『じゃあ誰が一番最初にここに戻って来れるか勝負だな。よし、行ってこい!』


 因みに俺は一番遠いところにした。一応魔王でもあるからハンデってところだな。


 さあ、誰が最初に戻ってくるのかな? 因みに俺の敵はお馴染みの相手クラーケンだ。コイツは無限に湧いてるのか? まあ、頭をぶち抜いて終わりだろう。


 ❇︎


 結果を発表しよう、一位ハーゲン、二位アシュラ、三位が俺、と言う感じだった。他はもう僅差だったしわざわざ明確にする必要もないだろう。


 でもまさか俺が負けているとは……上の二人どんだけ早かったんだよ。俺だって実質戦闘時間は一分くらいだったぞ? 移動時間がなければ勝ててたとは思いたいのだが。


 これでマジで強化しないといけなくなったな、いやあ、本当に。


 でも、このおかげで資金調達はだいぶ捗ったのではなかろうか?

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