第683話 懐かしのあの場所
お、ここがあの湖か。ここにくるのはいつぶりだろうか、もう、久しくきてないからな。今、俺は有名人が母校を訪ねる時の気持ちを味わっている、気がする。
ここは、俺の方向性を完全に決定づけられた場所でもある。
相手の攻撃を全て耐えて、逆にこちらの攻撃をチクチクと与えていく。あまりにも地道で途方のない道のりだったが、俺はそれを歩み切り、初の勝利をもぎ取ったのだった。
そういえばまだ海底神殿はあるのだろうか? あの神殿のおかげで今の俺があるようなもんだからな。久々に拝んでみても良いだろう。よし、入るか。
ポチャン
久しぶりの水中は適度に冷たく、とても心地良い空間だった。ひんやりと自分の熱を奪ってくれて身も心も冴え渡るような感覚になる。
海底についた俺は隈なく海底神殿への通路を探し始める。前回はどうやって見つけたのかも忘れたが、よく探せば見つかるだろう。
❇︎
と思っていた時期もありました。
「……」
無い。どれだけ探しても見つからない。もしかしてあそこは一回しかいけないようになっているのか?
マジか、またあの神殿を拝みたいと思っていたのだが、もう見ることができないのか。流石にあの龍との再戦は厳しいと思っていたが、入ることすらできないとはなー。
もうそうなってくると、ここに要はなくなってくるな。よし。上がるか。
予想よりも随分と帰りが早くなった俺が、水面から顔を出すと、人間と目が合った。
「「あ、」」
俺は反射的に水中へと戻ってしまった。
今目があったのは、確実にさっきまで一緒にいたカッチャ? って人だったと思う。何でその人がここにいるんだ? 喉が渇いたのか? でも、一人だとあんなに怖がっているんだぞ? ここまで一人で来れるのか?
もしかしたら帰り道の途中でモンスターに襲われてここに辿り着いたのかもしれないな。
本当にそうなら今すぐにでも助けてあげたいところだが、そうすると俺の嘘がバレてしまう。
プレイヤーの命か、俺の体裁か。魔王だから人間の一人くらい、と思わなくもないが、まぁ、今は人間モードなので、助けてあげよう。言い訳はその後だ。
ザばん!
俺は勢いよく水面から飛び出した。そしてモンスターを探す。あれ? いない。
そして、モンスターの代わりに柄の悪い一人の男が見つかった。
あ、こいつがモンスター? じゃあ、やっちゃいますか。あ、でも流石に大規模な魔法とか使ったら不味いか。
なら、普通に拳で。
「【
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