第674話 新たな角度からの問題
これにて彼を雇用することが決定した。新たな角度からの強化がいかほどなのか、非常に楽しみではあるな。
「ゴホン、あーあー。もう俺がプレイヤーってバレてるなら魔王口調はもういいか? 流石にプレイヤーって知っている人の前で、なおかつ以前にプレイヤーの頃の俺を見られている人に魔王口調は流石に羞恥心の暴走が止まらないんだが」
「あっ、そ、それもそうですね。ですが私はあくまでも部下であり手下なので、敬語は使わせていただきます。しかし、ここは折角ゲームの世界ですからロールプレイと銘打って魔王口調でも良いのでは? 誰も咎めませんよ?」
いやいやいや、咎められるのが嫌なのではなくて、コイツプレイヤーなのに魔王口調してやがるぜ、ヘッ、って思われるのが嫌なんだよな。
しかも、部下(プレイヤー)に提言されてやるとかますます気まずいだけだろ。
「「……」」
あ、加入させるのは全然良いんだけど、俺ってコミュ障なの忘れてた。だって、ゲーム内だけで言っても最初から今までずっとソロプレイなんだぞ? 人との交流の仕方なんて忘れて当然だ。
逆に魔王口調とは言え、あそこまでよくできたと褒めて欲しいものだ。
「「……」」
これはまずいぞ。何事も最初が肝心というし、人間関係においてもそれは変わらないはずだ。なのに、なのに、この沈黙はまずい。どうにか打破しなければ……
「「あ、あの!」」
か、被ったーー。
先ほどとは似ているようで微妙に異なる、気まずい沈黙が生まれた。まさか勇気を振り絞って発声した第一声がかぶるとは……
これはもう腹を括るしか無いようだな。もうなりふり構っていられない。秒で覚悟を決めて、先制をとる!
「ゴホン、ではこれからは魔王として接していく。今後ともよろしく頼むぞ」
「あっ、はい。よろしくお願いします」
少年は少し驚きつつも深々とお辞儀をした。うむ、こういうところは好印象だな。真面目さ、誠実さというのも本当に大事な要素だ。それさえあれば多少仕事ぶりが悪くても許してしまえそうなくらいにな。
うん、プラス一点だな。
「だが、まだ完全に信頼しているわけではない。我からしたら貴様が人間の間者である可能性はどこまで行っても拭いきれないものだ。だからこそ、それ相応の働きがなければ釣り合わぬということを覚悟しておくのだ」
「……っ! はい、もちろんです! 尽力いたします!」
まあ、俺のことが声だけでわかるくらいの熱烈なファンなのだ。裏切る可能性は少ないだろう。だがそれでもゼロではないし、そもそも俺のファンというのも嘘かもしれない。
一応魔王軍のトップを張らせてもらっている身だ。懸念すべきところはしすぎるということはないだろう。
気をつけるのは、重要な情報を与えず、逆にこちらが貰うということだ。まあ、それが難しい話ではあるのだが。
「では、ここから具体的な話をしていこう。貴様には一体何ができるのだ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます