第672話 彼の正体
少し短めですがお許しください…
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俺の正体……だと?
そもそも俺に正しい体、正体があることを知りうるのは、その概念があるプレイヤーに限られるだろう。
しかし、俺はプレイヤーにだけはバレるのを防いでいたつもりなんだが、どこからバレたんだ?
でもこうなった以上、どうにかする他ない。相手がプレイヤーとなれば殺しても口は塞げないからな。
クソ、プレイヤー対応マニュアルが完成していれば……もう、いっそ拷問でもしてやろうか?
取り敢えず中に入れるか。
俺は城の前に一つだけある反応を、この場所に転移させた。
❇︎
「お招き頂きありがとうございます、魔王陛下」
転移させると同時にその者は俺に頭を下げそう述べた。どうやら思ったよりも敵意は無さそうだ。
「それより、お……我の正体、とはどういうことだ? 場合によっては即刻命を絶たれると覚悟せよ」
危ない危ない。魔王の時は威厳を第一優先にしないとな。威厳がない魔王はもはや魔王ではない。
そして、いかにもNPCっぽく話してみた。最後の足掻きだな。
「はい。ですがそれはこの私をこの城に入れたことこそが答えと言えるでしょう」
「……」
確かに、確かにそうだな。これはもう俺詰んでる奴か?
「よかろう、では、どうやって我の正体に気づいたのだ?」
「はい。私は一度、魔王陛下、いやその前身となるお方に一度お会いしたことがあるのです。私はその方の熱心なファンでしたのです。それこそ、声を決して聞き間違えないほどの、ね」
え、ナニソレ、タダのヤバい奴じゃん。俺にファンなんかいたのか?
ってか、ってことは俺は一度コイツに会ってるってことだよな?
「……」
でもよくよく見てみると、確かにこの眼鏡と帽子、どこかで見覚えのあるような……?
いやー、ないな。
「フハハハ! そのような者がいたとはなぁ! それで、お前の望みは一体なんなのだ?」
あ、ついノリで魔王を続投しちゃったんだが、コイツ、ガチで俺のこと知ってそうなんだよな。
で、もし本当に知られてたら俺、本当に恥ずいんですけど??
「ありがとうございます、魔王陛下。私は本日、魔王軍に参加させていただきたく参上した次第でございます。どうか私を、ただの小者でいいです、どうか雇っては頂けないでしょうか?」
え、マジ? そっち?
「……ん!?」
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