第671話 対応策と想定外
ゾムの活躍により、第二層が突破されるという、未曾有の危機が無事解決された。
今回の事件は誰が悪いとかはなく、単純にタイミングが悪かった、としか言いようがないだろう。
まあ、強いていうなら宴会を開いて一切の警戒を怠っていた俺のせいだし、このタイミングを狙ってきた相手が上手だった、ということでもあるだろう。
その為、別に反省会もする必要はないし、これと言って取り急ぎ改善するところはない、と思う。
ただ、一つ懸念事項として、今回、初めて第二層に侵入を許してしまったことで、二層の情報がプレイヤー達に漏れてしまう危険性がある。というか絶対に漏れるだろう。
そうなれば確実にさらに侵入者は増えることだろうし、続いて第三層、第四層と畳みかけられるかもしれない。
まあ一気に、ということはなくても徐々に徐々に攻略されていく可能性がある、ということだ。
そこで今回、プレイヤーに本格的に攻略を狙われたことを機に、プレイヤー達への対応策を考えていきたいと思う。
これは、ただプレイヤーに負けないように強くなる、ではなく、もっと別の角度での対策だ。
今までは、それでもよかったかもしれないが、敵はプレイヤーだ。今はそうなっていないだけで、いずれ俺くらいになる可能性はある。というか、そのポテンシャルがあるのだ。なんせ、俺も同じプレイヤーだからな。
そして、俺の従魔たちの成長速度は彼らに劣るだろうし、それに加えて相手が束になってかかってこられたら、いつかは敗北を喫してしまうかもしれないのだ。
だからこそ、何か、ただの強化だけでない対応策を模索しなければならないのだ。
……ならないのだが。
んなもんあるのか? あったらとっくにやってそうな気もするのだが。
「あ、そうだ」
俺の頭で考えるからダメなんだ。こういう時こそ他の脳を使うべきだよな! 三人よれば文殊のなんちゃらっていうし、ちょっと招集するか!
『アスカトル、ペレ!』
個人的に従魔の中で賢いと思っている二人だ。この二人に聞けば何か良い案が出てくるかもしれない。
❇︎
『ふむ、人間どもに対する強さ以外の、対応策、ですか。キシャ』
二人に説明すると、二人ともから渋い顔をされた。
『申し訳ないのですが、私は強くなる以外に妙案は思いつきませんね……殊に戦術に関してならともかく、それ以外となりますと、お力添えできるとは思えません。本当に、申し訳ございません。せっかく頼っていただいたにも関わらず……』
『いやいやいや、別にそんなに落ち込む必要はないぞ? 俺も思いつかなかったから何か閃く手がかりになれば、と思っただけだからな? お前が気にする必要はないぞ?』
『はっ、ありがたきお言葉、感謝いたします』
ペレはちょっと大袈裟だな。まあ、こっちも嫌な気分はしないから良いけど、もっと友達みたいになりたいよなー。
『ところで、アスカトルはどうだ?』
『はい、やはり、配下をもっと大量に召喚するべきではないでしょうか? それこそ、この城だけでなく、人間の街にも配下を向かわせるというのはどうでしょうか? キシャ』
ん、意外と悪くないな? もっと戦力を増強するって意味かと思ったが、プレイヤーの街に潜入させるのは、良いかもしれない。そこで、情報等を探ることができれば、あるいは……?
『ご、ご主人様! 大変です! 門の前に一人の人間が現れました! ど、どうやらご主人様の正体を知っているとか!』
……はい?
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