第657話 美男と美女


「ぷはー! 死ぬかと思ったー!」


「いや、あんた一回死んでんだけど」


「ん、なんか言ったウリエル?」


「はぁ? 下界の生き物にむざむざと殺されて、秘儀を使って生き返ってきた雑魚ガブリエルは耳まで遠くなったの? そりゃ、負けるわけね」


「んなぁ? 今回は本気を出してなかっただけなんだけど? それに要報告案件だから、死んだフリをして確実に情報を持ち帰ろうとしただけなんですけど?」


「あらあらあら、急に口数が増えたましたねー。何かやましい事でもあったの? それより本気を出してなかった、なんて絶対服従使ってるくせによく言うよ。ギリギリの死に体で命からがら帰ってきただけのくせに」


「おいおい、言わせておけば減らず口を。そこまで言うなら、ウリエルが今から行ってくればいいだろ、ほら、サッサといけよ!」


「おい、いい加減にしろ。いい歳した天使が見っともない。いつまで子供でいるつもりだ」


「だって、ウリエルが!」

「だって、ガブリエルが!」


「五月蝿い!! これ以上騒ぐのならば追放するぞ?」


「ヒッ!」

「す、すみません!」


「まあ、よい。そんなことよりも解決せねばならん問題が発見された。それこそ二人で言い争ってる場合じゃないほどにな」


「「……っ!?」」


「今回、ガブリエルのおかげで有益な情報を手に入れ、そして天使の失態を晒してしまった」


「ほーら、ね?」


「う、うっさい!」


「やめんか。今しがたそんな場合でないと言ったはずだろう?」


「「はい.….…」」


「天使が失態を晒したということは、必ず挽回せねばならぬ、ということだ。我らは神ではない、あくまで使いだ。だからこそ、時には失敗もするのだ」


「ほーら(ボソ」


「だが! だが、その失敗をどう受け止めるかでその者の格が決まってくる。賢い二人ならば分かるだろう? 正しい選択を取ることを願っておる。ウリエル、今回はお前もちゃんと手伝ってやるのだ。こうやって言い合える相手がおるということの幸せを感じる為にもな」


「.….…っ!? は、はい」


 ❇︎


「う、ウリエル。今日はなんかいつもの父さんって感じじゃなかったね」


「そ、そうね、ガブリエル。ピリピリしてたし、最後お母さんを思い出してる時の目をしてた」


「ボク、死ぬのかな、、、?」


「大丈夫でしょ。その為に私が協力してあげろって言われてんだし。それとも何、私がいても負ける気がするっていいたいの?」


「ふふっ、そうだね。ボクら二人が揃って負けるわけがないもんね! よし、二人でサクッと世界を制圧しますか!」


「いや、ウチら、ね。ボクらだと私も男みたいになるからヤダ」


「いや、別にそこはいいでしょ。気にしないでよ」


「いや、気になるもんは気になるでしょ」


「あぁん?」


「お、やるか?」

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