第655話 神がかった推測


「ガブリエル様! 全部隊がやられました!」


「…………お、おかしいだろーーー! どうなってんだよ! アレだけバフもかけてやったし、父さんから援軍も沢山送ってもらったのに、それが全部やられるって一体どういうことなんだ!」


「これは、我々の認識を改めねばならないかもしr」


「うるさい! んなことどうでもいい! もうボクがいく! 天使を怒らせたらどうなるか思い知らせてやるんだ!」


「あっ、お待ちください!!」


 そう言ってガブリエルは、上空に待機させていた聖獣の上から飛び降り、魔王の前に姿を現した。


 ❇︎


 ふざけるなふざけるなふざけるな! ボクは天使だぞ! しかもそこらの有象無象の天使どもとは格が違う大天使なんだぞ? そんなボクが、ボクが負けるわけにはいかないんだよ!


「ふっ、ふふふ、ふはははははは! まさか、下界にいるやつでこんなに強い奴がいるなんてね! 天使と人間を湯水のように使ったんだけど、それで倒せないなんて思いもしなかったよー!」


 ひとしきり笑って心を落ち着かせた後、天使と人間がやられたことなんて、どうでも良かったというニュアンスで喋る。まあ、本当にどうでも良かったんだよ。


 だって、このボクが相手になるんだからね。


「貴様が天使の長か」


 ふむ。このボクの姿を見せて、物怖じの一つも見せないとは流石に少しはやるみたいだね。ボクをみたら善人は必ず頭を垂れ、悪人は絶望のあまりに膝をつき結局頭を垂れる。


 そんなボクに突き上げるような視線を飛ばしてくるとはいい度胸じゃないか。


「あららー! ってことは君がこの軍のトップ、魔王ってことかなー? まあ、わざわざ教えることではないけど、教えてあげようか。ボクはガブリエル、天使の長ではないけど、今回の戦の責任を任されているんだよー!」


 これでボクがどれ程のものか分かったことだろう。そして圧倒的洞察力を持って、そのものが相手のお頭であることも見抜く。


 ボクくらいの天使になると、頭もずば抜けているんだよね。まあ、強さだけの天使も言えるんだけどね。


 一触即発の空気が流れ、永遠のような静寂が流れる。その空気を破るのはもちろん、ぼk


「【暗黒魔法】、ダークボール」


 え、暗黒魔法!? なんで使えるの? 悪魔しか使えないんじゃないの? しかも暗黒魔法は天使のもっとも苦手な魔法だよ、これは不味い!


 ギリギリ間一髪で避けれたけど、これは結構気をつけないと本当に足元を掬われるかもしれない。


 でも、朗報でもある。暗黒魔法が効くってことは、相手は悪魔の系譜の者ってことで、つまりこちらの神聖魔法も相手にクリティカルヒットするってことだ。


 そういえばどことなく格好が悪魔に似ているし、ウチの天使たちがバコバコやられていたのもその所為だったのか。


 なら、これで決めよう。相手の技後硬直を狙って、、、


「【神聖魔法】、神の息吹」


 ボクのブレスは悪魔の化身に直撃した。

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