第652話 父の所為


「ガブリエル様! 第一陣がやられました!」


「へぇー! 思ったよりも下界の魔王はやるみたいだね! でも、まあそうは言ってもまだ第一陣だからねー、一体いつまで持つかな?」


 ❇︎


「……ガブリエル様、第五陣もやられました」


「いや、うん、言わなくても分かるよそのくらい。君の雰囲気で分かるし、第四陣がやられるまでのスピードを考えればこの結果は誰でも分かるよ、うん」


「そ、それでは如何なさいますか……?」


「そうだねー、まだ様子見かなー。まだまだ余裕あるみたいだし、まだ天使たちをぶつけよう。お父さんに言って追加の天使たちをたくさん用意してもらったからね、ほら、もう来たみたいだよ? それと、人間たちがあんまり仕事できてないみたいだからね、ちょっと働いてもらおうか。【緊箍児】、敵を倒せ」


「なっ……!? そ、それは頭を締め付けることで強制的に指示を聞かせるという……」


「うん、そうだよ? あれ、使っちゃダメだった? まあダメでも使うけどねー、負けたくないし。それに、これは指示を聞かせるだけって勘違いしてる奴多いけど、実はこれ、他にも副作用があるんだよねー。意外とみんな知らないよねー、えへへへー」


「副作用、ですか?」


「そそ、頭を締め付けるというあまりの激痛を与えることで、他の痛みに対して意識が向けられなくなるんだよねー。それこそ、多少斬られたり、骨が変な方向に曲がったくらいじゃ気にならないほどにね。ふふっ」


「なっ、なるほど! つまりこれで相手が天使に割いている戦闘力を人間たちに向かわせるということですね!」


「まあ、そうだねー。こんな狂った奴ら、しかもむちゃくちゃ多い敵を相手するのはなかなか大変だろうからねー。これで一旦様子見かなー」


 ❇︎


「…………ガブリエル様、第十四陣が破れ、人間たちも約半数ほどにまで減らされてしまいました」


「いや、うん、だからそんくらい言われなくても分かってるって。そんなことよりもこれをどうにかすることの方が大事でしょ? ってか、大体なんであんなに強化した人間たちが速攻でやられてんだよ! あぁーーもうっ、めんどくさっ! 帰ったら絶対父さんに文句言ってやる!」


「お、落ち着いてください。もう天使の増援は望めないのでしょう?」


「そんなこと知ってるって言ってるだろ! だからめんどくさいんだよ! もう、こうなったらアレを使う。もし怒られても全部父さんが悪い。こんな面倒ごとを僕に押し付けた父さんがね!」


「アレ、とはもしかして……」


「そうだよ! 【讃美歌】、【天啓】、【絶対服従盲目なる信徒たち】! ふっふっふ〜これでもう大丈夫でしょー!」


「なっ……!? 一度に三つも!? しかも盲目なる信徒たちまでお使いになられたのですか!?」


「これもそれも全部父さんのせいだからね! ボクは悪くないからね!」






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※ガブリエルはかなりのイケメンです

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