第651話 様子見からの
「おー、やってるやってるー」
遠くの空が近くなり、ビー玉サイズの天使たちが林檎くらいの大きさになった時に、敵陣営のプレイヤーたちが転移してきた。
スケルトンは無限に召喚して向かわせているが、あの三人だけで大丈夫だろうか、と一抹の不安はあったのだが、思いの外善戦しているようだ。
一階層で強化しただけのことはあるな。
圧倒的数の不利があるのだが、それを感じさせない立ち回りをしてくれている。まあ、相手が千人以上いても、敵が三人しかいなかったら、一度に戦えるのは十人もいないだろう。
そして、その敵を確実に倒すことができれば充分に戦えるということだ。それに、肉壁いや、骨壁ならいくらでも用意してあげられるから、生存率も上がっているのだろう。
スケルトンは普通に多数召喚できた。なんなら数の指定までできたから、意外と親切設計のようだな。
でも、ヴァールを急に呼んだのだけは親切じゃなくてお節介だったな。結果的には良かったものの、俺よりも遥かに強い奴がきてたらどうするんだよ、って話だ。
まあ、それはいいか。今は大戦に集中しよう。
今のところいい感じに進めている。順調そのものだ。だが、これは序の口も序の口だ。まだ、天使たちが出張ってきてないからな。天使がきてからようやく戦の開始だ。
そんなことを考えながら様子見をしていると、向こうの陣営に動きがあった。どうやらとうとう天使が来るようだな。
複数体おり、親玉ではないのだが、俺が前倒した天使よりは強いようだ。気を引き締めて戦いに臨んで欲しいな。
『アスカトル、お前の出番だ!』
『キシャッ! お任せ下さい』
そういってアスカトルは飛び出しだ。有象無象のプレイヤーたちの頭を蹴り、高く跳躍した。それでもまだまだ天使たちには届かない、そう思ったのだが……
『キシャッ!』
アスカトルが口から大量の糸を吐き、天使たちに付着させた。羽根に付いた天使は体勢を崩し、顔に付着したものはそのまま落下し、体についたものは気持ち悪そうにしていた。
うわぁ、アスカトルさん、せめて腕とかから糸を出してくださいよ。口からだと少し刺激が強すぎます。
しかし、アスカトルはそんなことなど一切気にも留めず、瞬く間に糸を伝ってまだ空中にいる天使たちへ攻撃をしかけた。
一体は自前のどくによる毒殺、別の一体は糸による絞殺、はたまた別の個体には自前の鎌で喉を掻っ切って斬殺。
ぴょんぴょんぴょんぴょん、飛び石を飛び越えるように天使を渡り、そして殺していく。その手際は無駄がなくスマートで、見ているこちらも気持ちがいいほどだった。
気づくともう空中には誰も残っておらず、陸の上でアスカトルがトドメを刺していた。
『ご主人様、こちらが心臓でございます、キシャ』
戻ってきたアスカトルは俺に心臓を捧げてきた。この状況でお土産も持って帰ってこれる余裕があるとは流石としかいいようがない。
素晴らしい働きぶりだつた。
これで初戦は俺らがもらったはずだ。さぁ、天使さんたちはどうでますかな?
こちらはまだまだ逝けますよ?
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