第633話 精鋭と精進
そ、そりゃそーか。一階層から見てきてプレイヤーのプの字もなかったのに侵入者なんているわけがないよな、うん。
『ってか、それよりもなんでアシュラがいるんだ?』
『はい、アシュラ様が自分に不利な環境での戦いがしたいとおっしゃいまして、それなら私も戦いに磨きをかけさせてもらおうと思い、こうして戦っていたのです』
『そ、そうか……』
俺の配下はみな上昇志向で嬉しい限りだ。というかストイック過ぎるだろ。なんだよ自分の不利な環境で戦いたいって、戦闘狂すぎやしないか、アシュラよ。
『じゃあ、もう少し続けてくれ。二人の戦いに俺も興味があるからな』
これは、なんの気無しに興味本意で言ったつもりだったが、二人の戦いは想像を絶するものだった。
先ず、アシュラの猛攻、これは言わずもがなで、前にも見たものだからそれほど驚きはしなかった。ただ、その鋭さが全体的に上がっていたのだ。
一発一発の威力の強さとスピードが確実に上がっており、今戦えば俺でもスキルなしなら少し苦戦するかもしれない。そう思わせるほどだった。
しかし、もっと驚きなのが、その強くなったアシュラを相手しているペレだ。
アシュラに全く引けをとっておらず、互角の戦いを繰り広げているのだ。
もちろん地形的有利がペレに働いているのは間違いない。この環境は圧倒的にペレ有利のホームだからな。
それを差し引いてもペレの戦いは凄かった。これほど単純に戦闘ができると思ってもなかったし、技術も相当高い。
フェイントや読みもさながら、自分の身体を一時的にマグマに変えることで相手の攻撃をいなしたり、逆に周りのマグマを使っての攻撃など、多種多様な攻めを繰り広げている。
スピード、パワー、手数のアシュラと、有利な状況を活かした戦略的立ち回りのペレ。この二人の戦いは非常に見応えのあるもので、俺のやる気にも火をつけた。
『ありがとう、じゃあこれで俺はお暇させてもらう。二人とも切磋琢磨することはとても素晴らしいことだ。他の仲間たちとも競い合い高めあって欲しい』
『は、ありがたきお言葉光栄でございます』
『私目ももっと精進いたします』
うん、ほどほどにな。精進は魔王を抜いてしまわないくらいで頼むぞ? ま、俺も頑張って強くはなるけどさ。
ふぅ、凄かったなー。次はスカルとボーンの所にいくか。アスカトルは前戦ったし、俺もなんだが戦いたくなってきた。
❇︎
ここが二人の階層だな。いやー相変わらずすごい数の魔法陣だな。それでいてセンスを感じさせる洗練されたフロア、さすがは運営。
『スカル、ボーン、いるかー?』
『『はい、こちらに』』
俺が呼びかけると、すぐさま俺の目の前に転移してきた。この階層のギミックは問題なく使いこなせているみたいだな。
『よし、じゃあ、俺と戦ってみないか?』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます