第634話 No.2の力


『よし、じゃあ、俺と戦ってみないか?』


 出会ってすぐにこんなこと言う魔王って嫌だなー。俺ってばアシュラのこと言えないくらいには戦闘狂になってたのか?


 いや、いやいやいや違うな。今回はスカルとボーン二人の実力を図るための戦闘だから、俺自身戦闘をしたくてここに来たわけじゃない。それは理解しておいて欲しいところだな、うん。


『『はい! 喜んで!』』


 喜んで、かー。ってことは嬉しいってことだよな? ってことは戦闘大好きってことか? あれ、ウチの従魔たちってみんな戦闘大好き族??


『よし、じゃあ始めようか。先手はそちらに譲ろういつでもかかってきていいぞ?』


『『では、行きます!!』』


 わざわざ行くことを教えてくれるなんて優しいな。堕天使たちもそうだったよな? 皆、根は優しく育ってくれているようで何よりだ。


 おっと、でもそんな親みたいなこと考えられるほど、今の敵は易しくはないな。早速スカルとボーン別々に分かれて、別々の方向から攻めてきている。しかも、避けた先に、転移の魔法陣があるように、だ。


 これは相当練度が高いな。ひとまず空中に逃げるか。


 いや、堕天使の時にそれをして読まれてたから、もしかしてこの二人もそうかもしれない。ならばまずはここで迎え撃とう。動かなければ転移することもないだろう。


「っ……!?」


 普通にコイツら、強い! 二対一を徹底して常に俺が二人の相手をしないといけなくなるような立ち回りをしてくるのだ。そして、単純な戦闘能力も高い。


 確かにこの二人は目立ってはいないが、ナンバーツーでハーゲンの次の古参だからな。これだけ強くてもなんらおかしくはない。


 更に、俺は最近はずっと剣ばかりを使っていたから、拳の感覚が鈍ってきているのだ。ゲームを始めた時の拳の使い方を思い出すんだ!!


 いや、あの時は蓮撃しかしてなかった気がするな、うん。使えねーじゃねーかよ。


 そして、剣を出そうにもその隙を与えない怒涛の攻めを展開してくる。これはちょっと気張って行かないと不味いかもな。魔王として絶対に負けられない。


 感覚を研ぎ澄まして、どこから攻めてくるのかを理解する。そして、それに対して最高のカウンターを決めるのだ。……ここだ、貰った!


「え? ぐはっ!」


 クッソ、やられた完全にやられた。


 今、何が起こったかと言うと、俺に殴りかかろうとしてきたスカルに対して、俺はクロスカウンター気味にパンチを撃とうとしたのだ。


 だが、俺のパンチが当たる寸前に、スカルがボーンと入れ替わったのだ。しかも、ボーンはガッチガチに防御姿勢をとった状態で、だ。


 そして俺の攻撃を見事防御され、転移してスカルの攻撃はしっかりともらってしまったのだった。


 カウンターは相手の勢いとかも利用する技だから完全に無効化されてしまった。これは、気を引き締めないと不味いな。


 だが、スカルとボーンの怒涛の攻撃はまだまだ終わらなかった。


 いや、むしろここからが本番のようだった。

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