第628話 驚愕の変化
「ゾムー、ゾムー?」
俺の声がまたしても虚しく虚空に響き渡った。
あれ、ゾムいないの? どっか行っちゃったの? でもどっか行くにしてもどこに行くっていうんだよー。
「おーい、ゾムー、いないのかー、いるんだろー」
俺がそうやって大声を出しながらゾムを探していると、突然ゾムは現れた。
「うぉっ」
そう、なんとゾムは床に擬態していたのだった。しかも完全に気配を消した状態で、だ。
「ゾム! お前もしかして、潜伏とかそういうスキルも身につけたのか?」
ゾムの両肩をガシッと掴み、ゾムに顔を近づけてそう聞いてみた。すると、ゾムは、
「ぐ、グァ」
と返事をした。
そうだった。ゾムとコミュニケーションを取ることは不可能だったな。なんだよグァって、どうやったらそんな声が発声できるのか分からないが、声帯すらも腐るとこうなるのだろう。
ゾムの場合は体はスライムだから腐ってないはずなんだがな。その発声方法が体に染み付いてしまったのだろう。
とにかく、さっきの返事がイェスかノーかは分からないが、気配が消えていたというのは事実だ。つまり、ゾムですら成長しているということだ。
ゾムはそのままでも十分に強いのだが、こうやって成長してくれるのはとても嬉しいな。天使戦でも皆と違うベクトルでの活躍を期待している。
それにしてもゾムに隠密性が加わるとかどうなってるんだ? ゾムに気付かぬうちに捕食され、その体を乗っ取られるなんて考えるだけでもゾッとするな。つくづく味方でよかったと思うよ本当に。
何もしなければ、ボケーっとしてて、何考えているかわかんないところが可愛い感じに見えなくもないんだが……いや、ないか。
よし、次行こう。ゾムは大型新人だからな。もう、生物兵器として一角を成している感じが強いんだよな。
次はー、アイスの前に先に堕天使たちをみに行くか。あいつら今どこにいるんだろうか。少しは成長してくれているといいんだが、どうだろう。
天使に堕天使をぶつけて勝つっていうのはなかなか面白いと思うんだよなー。相手も戸惑っている隙にやれると思うし。
『ミエナイ、イエナイ、キコエナイ!』
俺が三人を召喚すると、そこには以前に見た堕天使の姿とは大きく異なるもの達がいた。
「えーーっと、誰が誰だっけ?」
ちょっと三人とも変わりすぎて何がなんだか分からないんだけど……
『はい、では私から。堕天毒墨使のイエナイでございます』
『私は、堕天変化使のミエナイであります』
『私は、堕天粘吸盤使のキコエナイでございます』
えーーっと、誰だよお前ら。
いや、別に忘れたとかじゃない。じゃなくて、色々変わりすぎじゃね? この短期間で何があったの、ねぇ。
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