第629話 深まる謎と気になる強さ
堕天使組の成長っぷりには目を見張るものがあった。いや、ありすぎた。
一人ずつ見ていこうか、まずはイエナイだな。えーっと種族が堕天毒墨使になった、と。は?
『なあ、イエナイ、お前は具体的にどう進化、強くなったんだ?』
『はい、私は堕天墨使から堕天毒墨使になり、元々墨に含まれていた毒の威力が増し、毒を絡めた戦闘が大幅に得意になりました。具体的には毒の成分を調整することで、威力を高めたり効果時間を高めたり、麻痺させたりなど、様々な効果を付与することもできます』
なるほど、全然わからないが、分かった。元々、堕天墨使という謎種族だったのが、凶暴さと謎さを増したということだな。
まあ、戦闘ではある程度使えそうだからよしとしよう。
『じゃあ、ミエナイ、お前はどうだ?』
❇︎
その後二人にも聞いたが、それぞれ似たような感じで自分の長所をさらに伸ばした、というような報告だった。まあ、種族名からも薄々気づいていたんだが、ここまで尖った構成になっているのは面白い。
恐らく三人で相互にカバーしながら戦う、まさに三銃士の戦い方になるのだろうな。
『ん、お前らはどうやってこの力を手に入れたんだ? 自分たちだけ、敵を倒すだけでここまで強くなれるものなのか?』
俺は堕天使たちがどのくらい強くなったのか、よりもどのようにして強くなったのか、の方が気になりはじめた。
だって、今回俺は強制進化をしていないのだ。今まで種族が変わる時は大体俺の手が加わっていたから、これはかなり珍しいパターンではないだろうか。
もし、この仕組みを体系化できたら、魔王軍の戦力アップに大いにつながるのではないだろうか。
『私はデトックス様に教えを請いました』
『私はゾム様に』
『私はアスカトル様に』
うぉい! 一度にしゃべるな! ただでさえ声質がにているから誰の発言なのか聞き取りづらいのに。
でも、これで謎が溶けたな。うちの従魔たちに弟子入りしてたのか。だから、毒が強くなり、擬態から変化ができるようになり、そして吸盤に粘着力が加わったというわけか。
ん? ちょっと待て、デトに教えを請って毒が強化されたのは分かる。まだ分かるのだが、ゾムに教えてもらうってなんだ?
俺ですらコミュニケーションが取れないんだぞ? そんなゾム相手にしっかりと学び自分を強化してくるって何者だ、このイエナイ、じゃなくてミエナイか。
そして最後にキコエナイ、お前が一番の問題児だろう。なんでアスカトルに教えてもらっただけで吸盤に粘着力が付与されるんだよ! おかしいだろ!
もしかして、ただ教えてもらうだけじゃなくて何かしら特別なことをしたのか?
まあ、いいや。なんかどうでも良くなった。それよりも強くなったことの方が大切だ。もし、また今後従魔を増やすことがあった時にはこのことを忘れないようにしておけばいいだけだからな。
『じゃあ、俺と模擬戦しようか。どれだけ強くなったのか、俺に見せてくれ』
そう言って俺は武器を展開した。
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