第625話 簡単なクエスト
俺は爺さんからスキルを貰ったあと、そのまま城に戻ろうとしたんだが、あることが気になって、少し森の方へ寄り道をしていた。
森ひいては自然って、人間にものすごい良い効果があるらしい。森林浴とか今じゃ海水浴よりも人気がでているんだから変なもんだよな。
そういうこともあって、たまにはぶらぶらしようと思って森に入って、少しした時だった。
俺の始まりの地とも言えるこの森という環境の中で、俺は少し気が緩んでいたのかもしれない。
キンッ
突如、首の方に何か衝撃を感じたのだった。しかし、後ろを見てもその原因になるようなものは見つけられるず、周囲を確認してもいつもと変わらない木々がそこにあるだけだった。
早く城に戻って従魔たちの確認と、天使との抗争にむけて準備をしたかったんだが、どうにも変な感じがするのだ。
ちょっとした好奇心でスキルを使ってみると、かなり近くに反応があったので、そこに向かってみた。
すると、そこには小さな男の子がいた。
「君、何してるんだい?」
なるほど、この子が俺にちょっかいをかけてきたんだな。多分迷子になって困っている所に俺が通りかかったから、助けてもらおうとしたんだ。
でも、声をかけることがなんらかの理由でできなかったから石ころかなんかを当てることで俺に気づかせようとした、恐らくそんなところだろう。
「うん、大丈夫だよ。お兄さんが家まで送ってあげるからね! 家がなんていう場所にあるかわかるかな?」
あ、俺名前言われてもわかんねーや。どうしよ、あ、そうだ。もう乗せちゃえばいいんだよ、ハーゲンに。そしたら、あ! ってなるだろ、流石に。
「ハーゲン! よし、もう大丈夫だよー。さ、これに乗って家に帰ろうか! 大丈夫、怖くないよー、大丈夫」
この子は相当怯えていたみたいだけど、ハーゲンってそんなに怖いか? まだアシュラとかゾムの方が怖いと思うんだが……
まあ、いいか。恐らくこれは何かのクエストだと思うから、折角ならクリアしておこうという魂胆だ。早くクリアしてしまおう。
❇︎
「あ、そこ」
そう言って男の子は広場の方を指さした。あそこからであれば家への帰り道がわかるということだろう。
だが、直接運び届けるわけにはいかないので、街から少し遠目に着陸して、そのまま男の子を運んで広場へとダッシュする。
もし、プレイヤーに見つかったら面倒事が起きるかもしれないからな。面倒は避けるに限るよな。
そうして俺は男の子を広場へと送って手を振って見送ったのだった。
あれ? 報酬は? 多分、クエスト名は迷える子供を送り届けろ! とかだろ? 多分。
えー、報酬貰えないのー? マジかー。
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