第623話 悪魔の魔


 敵の悪魔は大昔に暗殺された大統領みたいな感じで横たわってた、大の字で。ま、そんな大統領をみたことはないんだけどね。


 もちろん、トドメをさせているかはしっかりと確認している。今でも血を吸い続けているし、なんなら粘触手でぐるぐる巻きにすらしている。


「レベルアップしました」


 よし、完全に死んだな。ってか、今まで生きてたのかよ、それはそれで怖っ。このまま、チャチャっと心臓をとって帰りますか。


 この時だけは俺の大好きな漫画キャラになれるから嬉しいんだよなー。ってか、あの漫画早く続き書いてくんねーかなー。


 グシャッ


 ❇︎


「ほう! これが悪魔の心臓かー、よくやったぞ! どれどれー」


 研究室に行くと、爺さんが喜ばしい顔をしてくれた。ん、着地はって? いや、それは聞いちゃダメだろ。


「フムフム、これは……伯爵級ではないか!!」


「伯爵級……?」


 って、どんくらい強いんだ? 前に爺さんに聞いたけど一切覚えてないんだよな、うん。この爵位? って奴覚えづらいよな。どっちが上とか下とか知らんがな、って感じだ。


「まあ、詳しいことは今から解析するからのう、少し待っておるのじゃ」


「はーい」


 そういえば悪魔と天使ってよく対にされているが、名前という観点からみるとそんなにペアな感じってしないよな。悪い魔、と天の使いだよな。天使と悪使とかじゃダメだったのか?


 まあ、悪の使いってよく分からんか、それに使いって偉い人にしかつかないイメージだったんだろうな、特に昔の人からすると。


 だが、ここに魔王という存在が入ってきたらどうだろうか。魔王は俺のイメージとして魔物や魔人を従えている感じだ。つまり、魔王の魔とは魔人や魔物の魔ってことだ。


 つまり、悪魔は悪い魔人や魔物ってことになる。


 ってことは、普通の魔人や魔物って良い奴でもあるんじゃねーか? まあ良くはないにしても悪くはないだろう? 一方的に人間たちに狩られるのはおかしいだろ。


 そしてさらに、俺は魔を統べる者として悪魔も従えていかないといけない気がする。だって悪魔も魔なんだからな。


 悪魔を従えて天を討つ。うん、かっこいいな。


 ま、当面の間は悪魔の心臓だけもらって、力だけをいただいて行きますけどね。


「解析が終わったぞ、今回は結構強敵だったようじゃが、お主はよく生きて帰ってこられるのう。本当に頼もしい限りじゃ。これが今回のスキルじゃな」


 お、終わったようだな、これで俺もまた強くなれるぜ。


 って、俺、何考えてたっけ? ……まあいっか。



ーーースキル【武装演舞】を獲得しました。


【武装演舞】‥自身の周囲に武器を展開、浮遊させ攻撃する。誰かに所有されている武器以外を使用可能。武器の展開可能数は消費MPに依存する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る