第604話 お前にだけは言われたくない


 まだまだこの玉座もといコアには様々な機能があるらしいが、それはおいおいでいいだろう。それよりも今は先に考えなきゃいけないことがある。


 それは、堕天使三銃士の所在だ。コイツらは城が完成した後に配下にしてしまった関係上、階層も割り当てていない。そもそも、追加する予定もなかったからな。


 だが、こうして魔王軍一味になったのだから、役職は与えたいのだ。防衛任務にはつかせられないとしても良い感じのポジションはないだろうか。


 んー、ありがちなので言えば、参謀、とかがかっこよくていいんだが、コイツらに何か作戦を聞いたりってことはしないだろうからなー。俺が普通に指揮を取りたい。


 他にどんな役職があるだろうか。宰相、なんてものもあるが、よく分からないし軍の中にあるものではないな。それに、結構なお偉いさんだろうから、それも三銃士のイメージからは外れてしまう。


 んー、そうなってくると、三銃士のイメージを損なわずに何か与えられる役職がいいってことだよな?


「あ、」


 そうだ、コイツらは前追いにしよう。前追いってのは、結構昔の時代に、それこそ貴族とかがいた時代に、お偉いさんが通るときに先に歩いて邪魔なものを追い払い払ったり、到着を知らせる役目をする奴のことだな。


 現代的に言うと、みんなでチャリに乗っている中で、一人走っているような奴のことだ、って古文の先生が言ってた気がする。つまりはそう言うことだ、三銃士たちには頑張って走ってもらおう。


 他にも別の名前があるらしいが、これでいいだろう。


 あとはそうだな、せっかく先に行って知らせてくれるって言う役目なんだから、プレイヤーとの接触も多そうだから、交渉とかもしする場面があったらコイツらに頼もう。ってことは外交官ってことか。


「あれ?」


 大丈夫か、コイツらのINTで。そんな大層な役を任せていいのか? 前追いくらいならちょうどいいけど、外交官にするなら見た目も中身ももうちょっとしっかりさせないといけないよな。


 だって、交渉とかするってことはいろんな駆け引きがあるってことだろう? それこそ百戦錬磨の敵を相手取らなきゃだし、プレイヤーにはそういうことに長けている人だって必ずいるだろう。


 言葉の空中戦を繰り広げられるくらいのINTは少なくとも確保しておきたいし、もちろん襲われてもいいように武力もしっかりつけておかないとな。


 ってか、商人さん達がしているイメージの、あの、腹の中を決して見せない建前だけの会話、というか建前前提の会話ってどうやってしてるんだろうか。俺じゃ絶対にできる気がしない。


 うん、是非とも堕天使ズには頑張って欲しいものだな。


 よし、今からコイツらの頭を良くするために旅に出かけよう。もしかしたら旅先にINTを上げる薬とか、木の実とかあるかもしれないしな!


 それに、俺はコイツらを賢くする為に一つの案がある。それを実行するために今からある場所に向かおうと思う。


「ハーーゲン!!」


 ❇︎


 さあ、やってきたのはそう、港町、海がある場所です!


 え、なんで海かって? そりゃ、蟹味噌を食べれば頭良くなんだろ。これは常識だよな?

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