第598話 魔を統べる者
「【人魔一体】、【擬態】」
よし、これでひとまずは大丈夫だろう。デトが擬態を覚えておいてくれて本当に助かってるなー俺。この状態のまま適当に潜伏して強い奴が現れたら心臓だけいただいて帰りますか。
なんか腕とか体とかもう既に俺から見える部分だけでも、天使になっているからとても変な気分だな。ただいま物理的に人間を辞めております。
あ、顔ってどんな感じなのだろう。俺らしさは残っているのか、それとも天使に擬態する上で消えるのか、見たいような見たくないような気分だな。
そんな取り止めのないことを考えていると、気づくと俺はどこか広場のような場所に来ていた。
ここは、下界の広場と違って人も少なく、落ち着くな。どうせバレないんだし、ちょっくらここで休憩していくのもありかもな。ちょっと眠たく……
『ご主人様!!』
バッ!
俺はすぐさまその場から飛び退いた。そして、俺が数瞬前までいたその場はクレーターになっていた。デトが声を上げてくれたが、今回は俺も気づくことができていた。
しかし、あのまま寝ていたらと思うと、少し怖いな。
でも何故だ、何故バレている? 俺は完璧に擬態しているはずなのに、何故だ? 天使には見抜ける能力でもあると言うのだろうか?
「ほぅ、今のを避けるか。だが、次で終いだ。下等な生き物の分際で天使の姿を騙り、あまつさえ天使の命を奪ったこと、地獄で後悔するのだ」
え、ちょまっ、急展開だな、おい。情報量が多すぎるぞ。それにまず、天使は天国に連れて行ってくれるんじゃないのかよ、なんで地獄に落とそうとしてくるんだよ。
だが、相手はもうすでに次弾を準備しているようだ。まずは相手を黙らせることからだな。それに、強そうな敵が向こうからノコノコとやってきてくれたぜ、これなら爺さんに良い手土産が期待できそうだ。
まずは、この姿を止めよう。もうバレているなら隠れる意味もない。俺の本当の姿を見せてやろう。
あ、ちょっと待って。なんかみんな翼が生えてるんだよな、相手の強そうな奴も、取り巻きも皆翼が生えてるんだよな。……かっこいい、俺も翼欲しい。
『ちょっとハーゲン、力を貸してくれ。【人魔一体】』
今度はハーゲンと一つになる。そして、その姿を天使たちにお披露目する。
「なっ、貴様なんだその姿は!」
そう、俺もハーゲンと一体化して翼の部分だけをもらったのだ。敵の天使の態度が大きいから、俺も尊大な態度をとってやろう。俺は魔王なのだから。
「一つ聞いてやろう、なぜ俺が敵だと気づいたのだ?」
この姿はいいかもしれない。何もしなくてもこれだけで態度がデカくなるし、背筋も伸びるし、口調も魔王っぽくなれるぞ!
「ふん、それを我に問うか。何も知らぬようだな。我が名はオリベル、主天使オリベルだ! 統治、支配の天使だ。天使を
へぇー主天使なんてものが存在するのか、雰囲気的には大天使よりも強そうだし、天使にもたくさん階級があるのかな? 帰ったら三銃士たちに聞くか。
あ、せっかく名乗ってくれたんだから、俺も自己紹介するか。
「私は、魔王、魔を統べる者だ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます