第594話 強そうなくせにそうでもない奴


 心臓といえば、悪魔の心臓をあの研究室の爺さんのとこに持っていけば、もしかしたら強いスキルゲットできるかもしれないよな?


 でも、今しがた天使を味方にしてしまったんだよなー。まあ、コイツらの心臓なんて持っていったところで雑魚いスキルか、もはや何も手に入れられないかのどちらかだろうから、コイツらは俺が進化させてやるか。


 んー、素材は何にしようか、最近狩りにあまり行ってないから良い素材がないんだよなー。あ、素材に使って余ってる悪魔の素材があるからこれにするか。天使と悪魔でいい感じにどうにかなるだろ、うん。


「【強制進化】」


「従魔:天使、個体名:ミエナイが堕天使に進化しました」

「従魔:天使、個体名:イエナイが堕天使に進化しました」

「従魔:天使、個体名:キコエナイが堕天使に進化しました」


ーーー称号《堕とす者》を獲得しました。


《堕とす者》‥天使を堕落させ、堕天使へとしてしまう。LUKにマイナス補正がかかり、スキル【禁断の果実】を取得する。


【禁断の果実】‥食べるとLUKを下げ、INTを上げる果物を生み出す。また、これを自分以外の生き物に食べさせると、ランダムで状態異常を発生させる。


 お、なんかゲットしたな。ん、これは強いのか弱いのか全く分からないぞ? どこに使い道があるのだろうか、相手に食べさせれば強いのだろうが、そんな機会なんてあるか?


 敵が差し出した食べ物をそのまま食う奴なんていないだろ。いたとしたら、そいつはかなり平和ボケしてる奴だぞ。


 まあ、このスキルに関してはこのくらいにしておいて、早速、天使の心臓狩りに行きますか。天使の心臓をあそこに持っていったらどうなるのか、楽しみで仕方がない。


「おい、お前ら。天使ってどこにいるのか知ってるか?」


「はい。天使は活動場所が二つあるのですが、多くの天使は空中都市に、それよりも上位の天使ともなると、さらに上層にある、楽上庭園にいます」


「そうか、ありがとう」


 んー住むとこ分かれてるのかー。より強いスキルを求めるのなら、楽上庭園だが、もし強すぎる天使とかいたら死んじゃうし、目をつけられたらめんどくさそうだからなー。


 さっき倒した天使も既にだるそうな性格だったから、行くなら確実に倒して心臓を持ち帰りたい。そうなってくるとまずは安全ラインからいきたいところだな。


「よし、空中都市に行く。案内してくれ」


「かしこまりました」


 ❇︎


「ここが空中都市でございます」


 おぉ、もう着いたのか。ハーゲンに乗ってたらお日様が気持ち良すぎてうとうとしてしまってたぞ。とても気持ちいいまどろみだったんだが、もう着いてしまったのか。


 ん、どうやら入るには門番の目をくぐり抜けないといけなさそうだな。あ、そうだ、いいことを思いついた。


「門番様、お勤めご苦労様でございます。こちら差し入れにございます、どうぞお召し上がりください」


「ん? 助かるな、いただこう。うっ、なんだこれはっ!」


 いたわ、平和ボケしてる奴。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る