第591話 尽きない疑問
【一花繚乱】‥巨大な一輪の花を咲かせ、その花弁で周囲に向かって攻撃する。たった一輪の花だけの狂い咲きはまるで大樹のざわめきのように周囲の生を刈り取ってしまう。
ほう、確かにこれは一騎当千と千本桜が融合したスキルと言えるだろう。
ただ、なんかコイツだけテイスト違くないか? なんか最後の文のフレーバーみたいなもの、今まであったか? 今まではただ効果だけを示していたような気がするんだが……
それだけ強いってことならいいが、どうやったらもっと攻撃力が上がるのか、みたいなこととかも知りたかったぞ?
まあ、無い物ねだりはこの辺にしておこう。惨めになるだけだしな。それに、今気が付いたんだが、この選定、「千」という漢字繋がりでしたのだろうか?
もし本当にそうなら爺さんやりよるな。でも、考えてみれば同じ文字が入っているってことは少なくともその感じの属性は同じということだから、選定がしやすいのか?
これからはもっと選定ができるように、既存のスキルといい感じに掛け合わせられそうなスキルを狙って取得していくのもいいかもしれない。
何はともあれ、今日はとても充実した一日になってくれたな。スキル欄がスッキリして、更に強力なスキルも手に入れられた。更に、次への足掛かりも見つけたことだし、これからもしっかりと頑張っていけそうだ。
「爺さん、今日は本当にありがとうな。また来るよ」
「あぁ、絶対に来るのじゃよ? お主は数が異常に多いからのう。儂が手を加えんと使われんスキルも多かろうて。なるべく使ってやるのじゃよ?」
「おう、わかった」
爺さんからしたらいろんなスキルを見れて、自分が生み出したものを使ってもらえるから嬉しいのだろう。顔も綻んでいる。必ずまた来ることにしよう。
爺さんに別れを告げ、俺は今ハーゲンに乗り魔王城に向かっている。
「はぁー、平和だなー」
無事戦力アップもできたことだし、次は俺の実力面の強化かー。大変だけどこれも大事なんだろうからなー。頑張るかー。
みたいなことを考えていた時、突如、俺の脳内に焦ったような声が鳴り響いた。
『ご主人様ヤバイっす! なんか、メチャクチャ多い気配を感じるっす! これはもうすぐ囲まれるっすよ!』
ハーゲンからの伝達だった。珍しい、こんなこともあるのか、と、そんな風に楽観的に捉えていると、思ったよりも早く、その現実は訪れることになってしまった。
「邪悪な魔物よ、止まれーーい!」
俺の目の前に一人、羽の生えた男がやってきて、通行止めを宣言した。俺は無視して突っ切ってやろうかとも思ったが、その男の第二声がなんとも気になる内容だった。
「我は大天使が一人、ハミュエルだ! その邪悪な目をした穢らわしい魔物よ、ここで祓ってくれるわ!」
え、天使? え、大天使? 邪悪? 祓う?
なーに言ってんだコイツ? やっちゃっていいかな?
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