第590話 魔の素質


「お主……もしや、魔人か?」


 はぇ? 


 いや、確かにそうなる、のか? あまりNPCたちの事情はわからないが、もし俺がここで魔人だったら何か不味いのだろうか?


「いや、すまんすまん。選定の結果が儂の思っておったのと違ってな。もしやと思ったからつい言ってしまっただけじゃ。心当たりがなければそれで良いし、言いたくないことがあれば言わんでいい。老いぼれの戯言と思ってくれ」


 お、なんか自分で解決してくれた。良かった良かった。もし、タブーとかだったら目も当てられないからな。


 あれ? もし、本当にタブーだったら俺が実際に魔王になったら使えなくなるのだろうか? よし、今のうちに沢山しておこう。俺はこの選定によるスキルの統合にめちゃくちゃハマっているからな、できなくなるのは辛い。


「爺さん、どんどん頼む」


「あいわかった」


 ❇︎


「【ギロチンカッター】、【聖槍】が統合されます」



ーーースキル【断罪絶刀】を獲得しました。



【断罪絶刀】‥敵対勢力の個体に、致死の攻撃を与える。七十二時間に一度使うことができる。


 わお、これまたイカついのが来てしまったようだ。ってか絶対これ魔王に引っ張られてるだろ、明らかにおかしいだろ。


 いや、でもギロチンも聖槍も一応、罪人を処刑する為のものか。でも、後者はちょっと意味合い違うけど、気にしたら負けか。


 でも、シンプルに名前が好きだな。カッコいい。最近、ギロチンも使ってなかったからこれを機に使うことにしよう。



「すまんお主、次が最後になりそうじゃ。どうも一つ一つの完成度が高すぎて上手くビジョンが見えんのじゃ。おそらくお主が強くなりすぎて儂の手に追える範囲じゃなくなっておるのかもしれんが……」


「そ、そうなのか」


 ちょっとこれはもっとスキルの取得も頭に入れておいた方がいいな。もっと集めて、もっと統合して、より洗練されたスキル達で揃えていきたい。


 俺にはスキル屋という頼もしい爺さんもいるからな。困ることはないだろう。


「では、最後の選定に参る。今回は一騎当千と、千本桜をしてみようと思うのじゃ。全く方向性が違うスキルの掛け算、どんな結果になるか儂にもわからぬほどじゃ。選定しても良いか?」


 ほう、そこまでか、確かにその二つの組み合わせなんて想像もできないな。


「では、頼む」


「【一騎当千】、【千本桜】が統合されます」



ーーースキル【一花繚乱】を獲得しました。

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