第571話 空き部屋とそこの住人
ハーゲンの要望に応じたため、突如、空き部屋となってしまった第九階層。誰か別の従魔を連れてきても良いんだが、それだと俺との信頼関係が構築されないまま、ここの防衛につかせることになってしまう。
まあ、服従は最初から絶対服従なのかもしれないが、俺は絶対と言うのは絶対に存在しないと思っているから、信用しない。
いや、できないって言った方が正確だな。他の従魔たちが本当に信頼できる分、それを新入りにも求めてしまいそうだ。
それに、第九階だぞ? 俺の階の一個下だから急拵えじゃなくて、ちゃんよ用意したものが良いのだ。だから、新たな従魔は採用しない。
別に探すのが面倒くさいとか、育てるのが面倒くさいとかそう言うわけじゃないから気をつけてくれ。まあ、ウチも結構な数いるからもう良いだろ、流石に。
ってなわけで、俺は考えた。この空いた九階をどうするのか考えた。運営に任せようとも思ったがそれでも考えた。
一丁前にこの階層に足りないものは何なのか、とかも考えてみたりした。そして、俺は気づいた。
「はっ! ランダム要素!」
そう、このお城にはランダム要素が足りなかったのだ。これでは、何度チャレンジしてもずっと同じ風景になってしまう。それは挑戦する側に対しても失礼だろう。
まあ、そう易々と周回なんてさせるつもりはないのだが、それでも何かドキドキイベントみたいなものはあった方がいいだろう。
❇︎
と言うことで、完成しました、運の間! ここはその人の運に応じて難易度が変わる階層になっている。
見た目は、第八や第七階層に似た闘技場風だが、かなりシンプルな造りと見た目になっている。
挑戦してくるプレイヤー達は、一体ここで何の運試しをさせられるかというと……今から戦う相手の強さだ。
この階層では、俺が契約した存在と戦ってもらうのだ。俺は、いろんな場所に赴いて召喚に応じてくれそうないい感じの人を見つけてきては契約をしていく。そして、その中から一人、ランダムで選ばれてここにやってくるのだ。
これはドキドキもあって、とても良いじゃなかろうか。まあ、一つ惜しむらくはまだ契約数が非常に少ないということだ。
今のところ、この階層に出てくる可能性があるのは、吸血鬼のカイト君と、お爺ちゃんのクラークだけだ。
まあ、二分の一ってことになるんだけど、それは下の階層の子達が頑張ってくれれば、連続して再戦ってことにはならないだろう。
そして、俺の使命はその間に一人でも多くの人と契約を結ばなきゃってことだな。……なんか急に営業みたいだな。
だが、手当たり次第ってわけにもいかないんだよな。それ相応の強さがなきゃいけないし、その見極めも大事だ。なんたって、第九階層を守らせるわけなんだからな。
よし、とりあえず先に最上階、俺とハーゲンの間を完成させるか!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます