第569話 運営の本気


 おはようございます。今回は運営に任せることになった、スカルとボーンの階層をみていきたいと思います。


「お邪魔しまーす。えっ!?」


 なんと、その階層には魔法陣が至る所に設置されてあったのだ。その数およそ十個以上だ。それ以外は特に何もなく、大まかな見た目は一個下のアシュラの階層に似ているな。でも、なんていうかこっちの方が少しセンスがある。


 派手すぎないでカッコよく洗練されている感じなのだ。恐らく、運営側がデザイナーか何かを引っ張り出してきたのだろう。やりおる。


 だが、問題は中身だ。これは一体なんなのだ? なぜこれほどまでに魔法陣がある?


 そう思ってスカルとボーンを見ても特に反応はない。どうやら二人も知らないようだ。


 すると、突然、ヒラヒラと紙が落ちてきた。拾ってみてみると、どうやら運営のようだ。ここで仕様説明か。取扱説明書にしては粋な演出すぎやしないだろうか?


 手紙を読むとそこにはやけに丁寧に述べられた感謝の文と、予想通り説明書だった。どうやら、この階層の魔法陣は全て、この階層内の別の魔法陣に転移する、転移陣であるそうだ。


 なぜこうなったのかというと、スカルとボーンの転双の拳を生かしたいっていう要望を出したからだそうだ。その装備の効果をカモフラージュする為に、元から転移陣を置くことで侵入者を混乱させる狙いがあるらしい。


 更に、この階層主である、スカルとボーンには基本的に分かれて戦ってもらうようにして欲しいらしい。


 最初はその転移陣の通りに転移してもらい、そして、危うくなったり、面倒くさくなったり、相手を絶望させたい時は転移を無視したり、操ったりできるようになっているから、そうやって対応して欲しいという旨も書いてあった。


 なるほど、これはややこしいな。つまりどういうことだ? スカルとボーンがそれぞれ別に動いて戦うだろう? そして、相手がやってきたら相手を転移させたり自分も転移したりして戦う。


 そして、それに飽きたら、転移陣を操ったり無視したりして、敵を困らせる、というわけか。そして更に自前のもあるというわけか。


 ん、ちょっと待て、運営さん少し気合入れすぎじゃないか? 今までの適当具合から一気にこんな難易度難しくなれば相手も流石に混乱するのではないか?


「はっ!」


 それも含めて相手を混乱させる、というわけか……恐るべし、だな。運営、プレイヤーに恨みでもあるのか?


 いや、それだと俺もプレイヤーだから違うか。んーだったらなんだろうか、まあいいか。


 これで運営の本気の支援が見れたわけだな。本当に俺が魔王になっても良いらしいな。


 じゃあ、最上階一個手前のハーゲンの階層を作っていくか! 俺の初めての従魔で、筆頭従魔のハーゲンだ。これはこの運営の階層に負けないくらいのものを作ってやらないとな。


 あ、そうだ。このスカルとボーンの階層の名前は、転の間、でいいや。混、乱とかとも迷ったが、もっと直接的な奴にした。だって、一文字じゃ伝わりづらいからな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る