第567話 仁義なき闘い


『私の階層ですか……キシャ』


 気にしない気にしない。気にならない、気にならない、カトルの語尾なんて全く気にならないぞ。ましてや忘れてたくらいだ、うん。


『それでしたら森なんかは如何でしょう、キシャ? 私とご主人様が出会ったのも森ですし、森であれば、配下達を放し飼いさせておくこともできますよ、キシャ?』


『おー! それはなかなか良い考えだな! 早速実装しよう!』


 俺と初めて会ったのが森だった、っていうのが重要かは怪しいが、案そのものは素晴らしい。他の階層と被ってもないし、いい感じに棲み分けができているな。


 俺との初めて会った場所が大事というのは、あれか? 刷り込み効果みたいなことか? ……いや、違うか。


 まあいいや。取り敢えずは、木を生やそう。後、草も。ってか、階層全体を丸ごと別の環境に変えることってできないのか? ……できた。


 ならこれで、一気に進むな。お、土とか太陽までもが再現されている。これはどうなっているんだろうか? 運営パワーってことでいいのか? 本当にいいのか?


 まあ、いいか。たとえ良くなかったとしてもどうでもいいや。関係ないし。


 よし、そんなわけで第六層「森の間」が完成した。因みに名付けは今した。一階層から名前をつけるとするのなら、第一層「海の間」、第二層「ゾムの間」、第三層「毒の間」、第四層「氷の間」第五層「炎の間」だな。


 

 ん? 名付けが適当すぎるって? 知らんそんなことは。シンプルな方が分かりやすいだろう? ペレの第五層は溶岩の間と悩んだが、一文字で統一したほうがカッコいいかと思って、炎にした。


 え? なんか変なものが混じっているって? 混じってない混じってない。それはただの幻想だ。


 よし、次はとうとう古参組に入るな。コイツらは特に一緒にいた時間が長いし、思い入れが強い。ま、だからと言って、特別頑張るというわけではいのだろうがな。よし、まずはアシュラだな。


『おーい、アシュラー。お前の階層、どんなのがいいかー?』


 アシュラってこんなにデカかったか? 見上げる程大きいんだが。まあ、確かに最初から大きかったのだが、ここまでとは知らなかったぞ? 最近成長期でも来たのか?


『は、私の階層ですか……そうですね、私はただただ強き者との闘争を望みます。命削る戦いを行える場であれば私は十分です』


『そ、そうか……分かった。できる限り叶えよう』


 え、アシュラお前そんなキャラだったか? なんか、仁義なき闘争、みたいなタイトルがつきそうなオーラ放たれているぞ? あれ、仁義ってどういう意味だ? まあ、いいや知らね。ノリでいいんだそういうのは、ノリで。


『アシュラよ、強きものは必ずここに来る。ここに下層をくぐり抜けた猛者達に負けぬよう鍛錬に励むのだぞ』


『は、ありがたき幸せ』


 え、今の言葉が幸せなの? やべーアシュラのこと古参、古参言ってたが意外と知らないこと多いな。


 ……これから、要注意だなこりゃ。

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