第566話 飼い主
『なあ、アイス、俺はアイスにお部屋をあげようと思ってるんだけど、どんなお部屋に住んでみたい?』
『えー、ごちゅじんしゃま、あいすにおへやくれるのー? うーん、ならひんやりしたおへやがいいなー、だって、あついとつかれちゃうもん』
『おーそうかそうか。じゃあ氷とかあったら嬉しいか?』
『うんっ! こおりだいすきー!』
うん、可愛いな。純粋で真っ直ぐで愛おしい。これはすぐにでも第四階層を氷漬けにしてあげないとな。アイスなら自分でできるだろうが、こういうのはしてもらった方が嬉しいもんなのだ。
だって自分で欲しいものを買うのと、人からプレゼントされた時では喜び度合いは変わってくるだろう? そういうことだ。
『ねー、アイスー。遊び相手に欲しい友達なんかいるか? お犬さんとか』
『んー、あいすねー、おともだちよりもつよいてきがほしーのー。だってあいすつよくなりたいんだもんー』
ん? 俺のビジョンではアイスが他の犬と楽しく触れ合っている構図が浮かんでたんだが、なんか殺伐としてるな。
いくら可愛くても魔王軍の一員、ということなんだろうな。でも、そんなアイスももちろん可愛い。そして全力でその希望は叶えていく。
『おー、そうかそうか。ならアイスが倒して強くなれるような敵をたくさん用意するからねー、待っててね〜』
『はーい』
よし、これで一段落だな。まずは階層の改装……ゴホンっ、住みやすい環境作りを整えてから、デトの配下だったり、アイスの相手なんかも用意してやろうと思っている。
外に行くときにまとめて持ってきた方が楽だろう?
と言うわけで次はペレだな。ここからは皆、しっかりしているモンスター達だから、要望もしっかりしていることだろう。であれば、こちら側としてもなるべく希望に添えるように尽力していきたい。
『ペレはどういう階層にしたいとかあるのか?』
『そうですねー、人類からの防衛という観点から申し上げますと、マグマで埋め尽くすべきだと思います。マグマがありましたら、相手の行軍も遅くなるでしょうし、私とマグマが一体化することでさらなる力を発揮できるようになります』
お、おー。急にしっかりしてるな。だが、確かにそうだなあ、ペレの強みを押し付けるにはマグマ一帯にした方がいいな。でも、多分全く攻略できないのはダメだろうから、一本道かなんかを作っておいた方がいいかもしれないな。
ん、そうなってくると、ペレに出会った帰らずの塔のマグマの階層とほとんど同じにならないか? ……いや、こちらにはペレがいるからな。おそらく大丈夫だろう。うん。
よし、そうと決まれば、部屋を全部ぶち壊さないとな。それで吹き抜けのワンルームにしてマグマを敷き詰めれば完成っと。あ、道忘れてたな。適当に石を敷き詰めて、っと。
よし、これで完成だ。うむいい感じだな。でもそうなってくると、今までの海馬とかデトとかアイスのステージもぶち抜いていた方がいいか?
うん、後でしよ。取り敢えず次はトルだな。
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