第565話 コミュニケーション


 取り敢えず、海馬の為に俺は第一階層は海水で満たしてやった。早速、水没エリアとか挑戦するプレイヤー達は大変そうだが、知ったこっちゃない。


 それに、もう海馬の為に時間を割くのは面倒臭いからさっさと次に行こう、次はゾムだな。


『なぁ、ゾム。どうしたい?』


『グァ』


 コイツはもうコミュニケーションのしようがないな。確か、はいといいえの返事の仕方に僅かな違いがあったはずだが、忘れたし、また確認するのも面倒くさい。


 ゾムは別に不満を抱えたりしないだろうから、適当に俺が拵えてやるか。


 まあ、俺のビジョンだと、挑戦してきたプレイヤーを飲み込んで自分の手駒にしていくっていうのが良さそうだから。別に最初は何もしなくて良いはずだ。


 気づいたら勝手に増えてる。うん、それがいい。空き部屋も無限にあるし、場所に困ることはないだろう。


 よし、次だ。次はデトだな。ここからはしっかりと聴取を行ってからきっちり作っていきたいな。


『デト、自分の階層をこういう風にしたい、っていうのはあるか? 住みやすい環境とか、落ち着くものや場所とかあればつくるけど』


『おぉ、ありがとうございます。こんな私にそのような大役を任せてもらえるなんて、光栄と存じます。

 住みやすい環境ですか……私は亀ですので地面と水場が両方あった方がありがたいですね、それに、その水場が毒液であれば尚文句はないのですが、それは流石に欲張り過ぎというものでしょう。私はご主人様の仰せのままにする心算でございます』


 コミュニケーションがスムーズにできるって幸せなことなんだな。改めてそのことに気付かされたぜ。


 まあ、前の二人が特殊過ぎただけかもしれんが。


『ん? 毒液で満ちた場所が有れば良いってことだな? なら適当に廊下とかにぶちまけとくけどいいか? それと配下とか手下とか欲しくないか? もし欲しくなったら適当に連れてくるから考えていてくれ』


『な、なんと……本当にありがとうございます。この身果てるまでお使い申し上げます』


 お、おう。最近やたらと忠義を誓ってくれるな。これも魔王になって補正か?


 そういえば、職業ってどうなってんだ?もしかして魔王になってたり? ……しませんでした。


 まあ、それもそうか。ただ大勢の前で名乗るだけでなれたらみんながなりたい放題だもんな。いつか職業も魔王になれたらいいな。


 そうしたらシステム的にも運営的にも個人的にも、名実共に魔王ってことだからな。


 ふふふふふ、早くそうなれるように頑張らなくてはな。よし、次はアイスだな。アイスはまたどんなこと言ってくるか分からないな。まあ、アイスには全力でしたいようにさせてやるからな。


 だって、アイスはうちの可愛い可愛い愛犬ですもの!

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