第564話 建設開始
「ふははははは!」
最上階にある魔王の椅子で、魔王っぽく笑う練習をしてみた。この椅子はとても豪華で、座るだけで魔王気分が味わえるな。これを独り占めするのも気が引けるが、座りたけば実力で座ってもらうことにしよう。
それにしても城の外観はいい感じに定まったのだが、内装はまだまだだ。デフォルトではこの椅子くらいしかないらしい。
個性を出せ、ということなのだろう。階層は全部で五層で、もちろん何も無い。一層ごとに従魔達に任せてもいいのだがそうすると、圧倒的に階が足りない。
今の従魔が全部で九体で、俺合わせるとちょうど十になるな。よし、というわけで一階層に二名ずつ配置しよう。
いや、それよりかは流石に一階層一体の方がいいか? でもそうしたら、キャラ被りを嫌ったせいで統一感は無くなってしまうんだよな。
んー、今から全部で十層に変えるか? 一層当たりの高さを低くして、城の高さをを高くすればいけるか。でもそれで運営がやり過ぎって見なさなければいいが……
「よし!」
これで大まかな方向性は定まった。取り敢えずのコンセプトは従魔達の試練、って感じだな。こうすれば、一貫性も保てるし、層毎にガラッと変わるのも不自然じゃない。
え、話が違うって? いや、先人達を見習ったまでだ。だって、帰らずの塔も邪の祠もそうだっただろう? ならそれに従った方がいいだろう。
それに、よくよく考えてみれば考えるのが面倒くさいのだ。一貫性を持たせるにしてもそれを実現する方が遥かに面倒くさいのだ。
そして、俺はある最強の手段を思いついた。それは、内装の問題を全て片付けてしまうほど強力な解決策だ。
それは……従魔達に意見を聞く! だ。
これをすることでプレイヤーを迎え撃つ従魔達にとって最適な環境を用意してやることができる。それに、内装を考える必要が無くなるのだ。
うん、最強。
誰がどの階を担当するかは、面倒、じゃなくて、やっぱり上下関係とか色々あるから、問題を無くす為に従魔になった順で上からだな、うん。従魔間で問題が起きたら大変だからな。他意はない。
階層間はやっぱり先人達を見習って転移陣を設置して、これで俺のやることはほぼ終わりだな。後は従魔達の意見を聞いてそれを形にするだけだ。
配下の意見を丁寧に取りいれる魔王。うんうん、良い魔王だ。こんな魔王がかつていただろうか、いないよな? 是非世の魔王の皆さんには見習って頂きたい。
っと、取り敢えず手始めに海馬からだな。よし、
『なぁ、海馬。お前専用の階を与えてやるんだが、どんな階層がいいか?』
『は、有難き幸せ。御身の為、この身を捧げて忠義に励みます』
『あ、いやそうじゃなくてだな。んーと、そうだな、自分が住む場所ならどんな場所がいいか?』
『は、私は我が君の側でしたらどこへでも』
『いや、そうじゃなくて! お前にとって俺の隣以外で一番居心地がいい場所はどこだって聞いてんだよ!』
コイツあれか? ゾムの使い過ぎで脳に悪影響がでてんのか? これからゾムの使いどころは考えないとだな。
『それでしたら、水がありましたら嬉しい限りです』
最初からそれを言えよ全く……
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