第556話 ズドンバゴン(別視点)
俺の名前は頭鈍刃権、ハンマー使いだ。
今日は待ちに待った、国別対抗戦ということでとても気合が入ってるんだ。今までイベントはたくさん開かれていたけど、どれもたいして活躍はできなかったからね。
今日こそ、今回こそは活躍して、俺も上位勢の仲間入りを果たすんだ!
「おい、ずどばご、何、上向いてガッツポーズしてんだ? まるで、この試合、ひいてはこのイベントで大活躍して、大注目された後みたいなオーラだな。なんか、いいことあったか?」
「……」
こいつは俺の幼馴染にして、親友いや、好敵手の、極ロードだ。
「おいおい、まさかそれを想像してガッツポーズしてたなんていう恥ずかしいことはしてねーだろーな?」
「…………」
バコン!
俺はハンマーで軽く極ロードの頭をぶった。これだけでは特になんのペナルティもないから、この流れは日常的に行なっている。
まあ前、喧嘩した時は危なかったな。お互いPKになりそうになったことで仲直りしたんだっけ。
「とりあえず、今回のイベントで俺は本気を出す。遅れずについてこいよ、極ロード」
「いやいや、こっちのセリフだ。だがまあ、本気を出すことに異存はねぇ、思いきっりやってやろう」
そう、硬く、いや痛く拳をぶつけてあって、俺らは転送された。
最初は拳をコツンとぶつけるだけだったのに、最近は思いっきりストレートで殴りあってるから、もうそろそろダメージがでそうだ。
目を開けると、そこはどうやら屋内の様だった。しかし、何かの建物、という感じがしない。天井は低く、出入り口? 通路のような場所は一つしかない。これはまるで……
「なぁずどばこ、これ迷路じゃね?」
「……うん、そうだな」
こうなってくると、もう作戦も戦術もないよな。早く突撃してしまおう。もう、突入してる奴らもいるし、遅れたら笑えない。
「なあ、極ロード、」
「いや、これは待って様子を見た方がいいだろう。こういうのは考えもなしに行った奴が直ぐに死ぬっていうのが相場だ。それに……」
「それに?」
「この迷路はそこまで明るくないだろう? 俺らの所属を示すこの赤の装飾が見づらくなるかもしれない」
「た、確かにな」
そう、俺らは自分の味方と敵を一目で分かるように、赤と青で色分けをされている。どういう原理か、いつもの装備がそれとなく赤色に染まっているのだ。
控えめに言ってカッコいい、帰ってもこの仕様が継続されねーかな……
「って、そーじゃねーか、この暗さだと、同士討ちもあり得るってことか……」
「何がそうじゃないかは分からんが、とりあえずはそういうこった。それに加え罠とかも仕掛けてあった暁には、かなりの乱戦になるだろうよ」
「いや、俺らが気をつけないといけない存在は、それだけじゃねーぜ。モンスターもいるってことを忘れちゃいけねー、それが狙いかもしれないからな」
「あぁ、確かにそうだな」
俺らは結局、人数が半分くらいになった時点で迷路に突入した。
「よし、攻略開始だ」
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ごめんなさい、次の話もコイツらです。
その次は主人公に戻りますので、安心してください。
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