第545話 方針
ルールはとても単純なものだった。同じ数の兵を一度に衝突させて、どちらが多く相手の兵力を削れるか、というものだ。
まあ、流石にそれだけでは、と運営が思ったのかは知らないが、もう一つの勝利条件として、相手の陣地内にあるコアの破壊、というものもある。
このルールのおかげでどうやって守りどうやって攻めるか、という駆け引き、そして国全体の連携も試されてくる。これは中々面白いな。
陣地内には各国に同一の砦が一つ与えられており、その中であればコアはどこに配置しても良いらしい。どこに置くかも戦術に関わってくるんだろうな。
それにしても、日本もそうだが国全体となると一体だれが指揮を取るのだろうか。まあ、一定数言うことを聞かない輩は現れるだろうが、それでもトップの存在は必要不可欠だろう。
ま、俺には関係ないか。それよりも、俺以外にも第三勢力のプレイヤーがいるのか気になるな。
この第三勢力というものの概要をみてみると、とにかく倒しまくれば良いらしい。手段は問われず、コアを破壊すれば別個さらに報酬がもらえるらしい。
そして——俺はこれが一番の旨味だと思っているのだが——そう、第三勢力は全ての試合に参加できるのだ。これは恐らく人数が少ない関係でだろうな。
これはイベントを人よりも多く楽しめるということでもあるし、他の国の事情を戦場から知ることもできる。まあ、どうせ中継されてるだろうからそこまでのアドバンテージはないかもだけどな。
ここまで聞くと第三勢力も悪くはないと思う人も多いかもだが、こちらは一度死ぬともう二度とイベントに参加できないのだ。通常であれば、自分が死んでも国が勝てばまた参加できる為、気軽さは後者が圧倒的だろう。
良くも悪くも実力主義、と言うことなのだろう。まあ、第三勢力っぽくていいよな。
どこの国にも属さず、ただただ戦場を荒らしまくる、絶対に面白いだろう。
あと、以上のことが書いてあった概要の最後にこのような一文で締められていた。
「この第三勢力は、通常プレイヤーには存在が明かされておりません。どのタイミングでどのように攻めるかは貴方次第です。血と憎悪と欲望で戦場を染めて下さい」
うわー、おっかない文だなー。なんだよ血と憎悪と欲望って……あ、倒しまくれば報酬が上がりますよってことですね、それと恨まれても知りませんよ、と。
しかし、明かされていなくて、何時でも攻めて良いってことは逆に攻めたらバレるってことか? それともバレないように攻めろってことか? それともここぞというときにってことか?
分からないな、まあ、俺は全試合出場するつもりだしいいか。うん、まあどうにかなるだろ。
それよりも今は海馬を強くしないと、アイツはまだ実戦に耐え得るレベルか怪しいラインだからなー。
やることも明確になったことだし、気合入れて海馬含め従魔達を鍛えますか!
……あっ、はい、もちろん自分自身の鍛錬も忘れませんよ?
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