第539話 地獄の修練


 あ、そうだ。俺には地獄の超特訓コースがあるんだった。前は人様の息子だから加減はしたけど、今回は自分の直々の配下だからな。遠慮せずにいける。


 どちらにせよ、強制進化をするのならば根性を叩き直して、地力もあげてからの方がいいだろう。これをしたら他の従魔たちにも引けを取らないくらい強くなってくれそうだしな。


『というわけで、今から訓練を始める』


『何がというわけでだかさっぱりだが、良いだろう。貴様のいうことは当面の間聞いてやることにしよう』


『ほう、そんな生意気な言葉を使ってもいいのか? これからお前に起こることを知らないようだな』


『な、な、貴様何をするつもりだ!?』


『お前を強くしてやろうと思ってな。まずはそうだな、海から出るか』


 そう言って俺が海馬の首根っこを掴んで一気に海中を上昇し、水面から飛び出し、空中を駆け上った。


『な、何をする! そんなことをすれば我が死んでしm、


『死なねーよ、【慈愛之雨】』


『おぉ! 体力が回復して、ってまたダメージを食らっておるぞ! 早く回復するのじゃ!』


『そんなポンポンしたら特訓じゃねーだろ? お前が限界を迎えて限界を突破するその瞬間まで待ってそこで初めて回復させてやるから、精々耐えるんだな』


『な、貴様自分が何を言っているのか分かっておるのか! そんなことをして許されるとでもおm


『【慈愛之雨】、お前、HP低すぎだろ』


 ってかまあ、俺は基本自分が全部やってるからなこの地獄の特訓は。まあ、水棲のモンスターが空中に出るだけでダメージ喰らうのはできないが、逆はしたことあるからいいだろう。


『貴様、いい加減にs


『【慈愛之雨】』


 こいつ、元気だけはあるから普通に死にそうになってもギャーギャーとうるさかったがそれも何十回と続ければ、だいぶ大人しくなってきた。


 そして、遂に、


『も、もう、やめる……はっ! わ、我がダメージを食らっていない、だと? ふっ、フハハは、ふははははははー! これで我は最強となり、一切の死角が無くなった! もう、この我に不遜な行いをすればどうなるかわk


『次は雷だな、ハーゲン! 死なない程度に頼む』


『分かったっす!』


 まあ、ダメージを食らわなくなったら調子に乗るだろうとは思っていたが、まさかあんなに調子に乗るとはな。予定では水は火に強いイメージだからペレを呼ぶつもりだったんだが、ついハーゲンを呼んでしまった。


 しかもハーゲンは純粋な電気じゃなくて、黒雷なんだよな。まあ、なんとかなるだろ。


『や、やめろ! この我に何たるおk


『俺っちは先輩っすよ? そんな口聞いていいんすか?』


 あ、ハーゲンが先輩風吹かせてる。ま、まあ最悪蘇生もあるから、な? 大丈夫と信じよう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る