第529話 後悔と行動


 ッドッガーーーーーーーん!!

 ッドッガーーーーーーーん!!

 ッドッガーーーーーーーん!!

 


 ……結論から言おう。事態は俺の予想通りにはいかず、尽く敵を爆散させてしまった。自分の手で爆散させる分には全く心が痛まないのだが、それを強いられて自らしているのをみると流石に、少しは胸がいたんだ。


 それに助けられる気でもいたから、助けられなかった後悔もある。


 弱者には他者を助けられることは、できない。とまでは言わないが、やはり人を助けるには自分が強者でなければいけないのだ、ということを再確認させられた。


 まあ、日常生活で発生する些細な手助け等は、自分の心が強者であれば実行可能だが、他者の命を救おうとすると、救おうとするヒーローにもそれ相応の強さが求められる。他者を助けるために強くなる、のもアリかもしれないな。


 まあ、実際はそこまでモチベーションが保てないだろうから、助けるべき時に助けられる人材になる為に頑張るのは良いな。ちょっと良いことしてる感もあるしな。ま、偽善といわれればそれまでだが、そのくらいでちょうど良いんだろう。


 不純な動機の方が、逆に信頼できるってもんだ。


 だが、ここからは切り替えなければならない。これから先は確実に階層をクリアしていき、必ずダンジョンマスターなるものに一発かまさないと、この腹の虫は治らないからな。


 俺は、決意を決めて、階段を降りて行った。


❇︎


 階段を降りるとそこは、何もない狭い空間が広がっていた。壁の色は白よりのクリーム色だろうか。意外と、というかかなり狭い空間になっている。もちろん敵の気配もしないし、気付いたら、俺が降りてきた階段すらも消えている。


 つまり、俺は完全密室に閉じ込められた、ということになる。なぜ、こんなことをされたのか分からないが、相手は何が目的なんだ? 俺をここに閉じ込めることになんの理由がある?


 くそっ!


 いくら壁を叩いても殴ってもびくりともしない。まるで、でっかち巨大な岩でも殴っているみたいだ。


 ふぅ、一旦落ちつこう。今から俺がすべきことの再確認をしよう。まず、俺が知りたい、知るべきことは、ここからの脱出方法だ。もしかしたら時間経過で出してもらえる可能性もなきにしもあらずだが、あまり期待はしない方がいいだろう。


 そしてもう一つは、敵がなぜ俺をここに閉じ込めたのか、目的が知りたい。目的が判明すれば自ずと脱出法も見えてきそうな気はする。


 何か手がかりはないか、探してみよう。壁は上下左右前後すべて無地で全く同じ色だ。一見、情報なんてなさそうに思えるが、情報とは、見つけるものではなく、集めるものだ。……これは今俺が作った言葉だが、情報は俺の行動によってももたらせれるはずだ。


 【不動之刀】!


 くっ、傷一つ付けられないか。


 その後も時間をかけて、威力を上げて不動之刀を振るってみたりしたのだが、結果は変わらなかった。まあ、これでこの壁は物理攻撃、特に斬撃に対しての耐性はものすごくあるということはわかった。


 こうやって、地道にいろんな情報を集めていくんだ。


 そうして俺は様々な方向から、壁にアプローチしていったが、その全てを尽く跳ね除けられた。少しくらい受け入れてくれてもいいだろうにな。


 しかし、俺はそんな中、どうも言葉にし難いある違和感を感じていた。

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