第528話 モンス道的倫理
……俺は今、潜伏している二体目のモンスターに接近している。一体目ではまさかの攻撃をくらってしまったから、今回はなんとしてでも綺麗に抑えたい。
摺り足で距離を詰めつつ、相手との距離を測っていく。相手が出現するギリギリを見極めてスキルの詠唱を始める。
「【パキケファロ……
ッドッガーーーーーーーん!!
目と鼻の先で特大の花火が打ち上げられた。
おいおい、まさかの二体目かよ、流石にないと思って全く警戒していなかったのだが、相変わらずすごい威力だな。余裕でHPが残り一まで消し飛ぶんだよな。
HPが一になると、いくら不死身といえど死ねてしまうから気をつけなければならない。まあ、二秒間の間だけだがな。
ってか、それよりも、二体目の潜伏モンスターについてだ。なんで、二体目も自爆系モンスターなんだよ、見た目もさっきと全く変わらなかったし、モンスターをなんだと思ってるんだ。ここは、本当に性格が悪いダンジョンだな。
しかし、性格云々の話を抜きにしても少し厄介になってきたな。なんせ、一体めの自爆だけならまだ初回限定、という可能性もあったが、二体連続となるとかなり状況が変わってくるのだ。
例えば、この潜伏モンスターは確率で自爆モンスターである、という可能性だったり、最悪の場合……
ッドッガーーーーーーーん!!
全員、自爆する可能性もある。今し方、三体めも自爆してしまった。
「チッ、」
これはだいぶ鬱陶しい。もし、全部自爆するんなら攻略法は変えないといけなくなるだろうし、何よりこのダンジョンの主がウザいな。
だって、仮にもダンジョンに俺の敵として出てきているってことは、ダンジョン側の味方ってことだろう? それなのに、それなのに、その味方を躊躇なく爆散させるって、どんな心境してるんだ。
ま、ダンジョンには俺の知らないルール見たいなもんがあって、ダンジョン内で死んでも死なないようになっているかもしれないが、それでも味方を道具としか扱っていない感がして、非常に嫌だ。
俺は、自分の従魔を爆破させようとは決して思わないからな。
よし、もうこの話は終ろう。俺が一人で考えたところで何も変わらないことだしな。もし、ダンジョンマスター的な奴にあったら、その時に思い切りボコそう。それまでの我慢だ。
では、攻略しますか! まず、相手は全て自爆系だと仮定する。その上で、一番良い攻略法、それは駆け抜けることだと思う。相手の自爆モンス達が出てきて速攻で爆破するが、それでも出た瞬間、というわけではない。多少なりともラグはあるはずだ。
その合間を縫うのだ。
相手が俺を認識して、飛び出る。しかし自爆しようとすると、相手がいない。見たいな状況にするってことだな。
そうすれば、必要のない自爆は避けられるかもしれない。まあ、気休め程度にしかならないだろうが、やるだけやってみよう。
「【韋駄天走】!」
俺は、全てを置き去りにして、駆け抜けていった。
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