第526話 攻略方法


 いかんいかん、ちょっとデトに気を取られてしまったが、よくよく考えればこの層は酸素だけって……え? マジで言ってる?


 だってさ、そもそもデト曰く酸素だけって言うのは危険なんだろう? それこそデトですらこの階層全体であれば危機に瀕するほどのレベルで。そして、何より忘れてはいけないのが、この階層は真っ暗闇であるという事だ。


 つまり、先に進むには確実に明かりを灯さなければならない。そしてあかりを灯そうとして、火をこの場に持ってくると、、先ほどの大惨事が発生するという訳だ。


「性格悪っ!!」


 この階層作ったやつ絶対性格ひん曲がってんだろ、邪の祠って、ただただ性格悪いダンジョンじゃないかとすら思えてきたぞ。これはどうやってクリアするんだろうな、普通のプレイヤーは。


「あ、」


 俺もデトのこと言えねーじゃん、自分を普通から除外してしまった。もしかして、デトのあの思考回路というのは俺のせいなのだろうか。従魔って確かにご主人の思考とか反映されそうだしな。てことは俺、さっきの……


 よし、切り替えてこの層攻略に向けて考えよう。


 先ほど普通の人ならこの層の攻略は難しいと言ったが、普通じゃないやつはどうするかというと、あえてさっきみたいに爆発させてみたり、そのまま次の階段に向かうことができたりするだろう。


 爆発させるのは、二度目だし、芸がないので、今度は別の方法で次の階段を探してみよう。


「【叡智啓蒙】、【己没同化】」


 俺はもう、すっかりお馴染みとなってしまったスキルをセットで発動した。この二つは周りの環境を知る為にはとても有効な手立てなのだ。


「よし」


 階段の位置が判明した。そしてその道中には特にモンスターも仕掛けも何も無かった。まあ、当たり前と言えば当たり前のことかもしれないが、爆発する度に毎回、モンスターも仕掛けも大破してたらただのアホだからな。しかも、その爆発は相手が誘導して引き起こしているんだからな。


 防衛機構としては大多数のプレイヤーおよび人間等の侵入を拒むことができるだろうが、逆に言ってしまえばこの仕掛けを突破できれば、なんの障害にもなり得ないな。


 とは言っても俺も爆発にはビビったし、謎解明に時間を使ったから時間稼ぎという点においてはしっかり貢献されてはいるが。


 さあ、場所がわかってしまえば後はただただ突き進むだけだ。


 この階層はかなり長い一直線だった。ということは息を長時間止めていられる人であれば誰でも攻略可能である、ということだ。まあ、結構長いから、相当限られるだろうし、真っ暗闇の中、それを自信を持ってできる人がいるかと言われれば、ほとんどいないだろう。


 俺みたいに構造全てを把握できれば話は違うだろうが、厳しいのだろうな。



 そんな取り留めもないことを考えながら歩いていると、ようやく階段に到着した。これは結構かかったな、やっぱり息を止めてくるのも無理かもしれない。


 あ、因みについてきたいと言われたので、ペレとデトはついてきてもらっている。ペレはもともとスケルトンだから、毒とか効かないし、デトも減った体力を回復させてやったら、もうこれでこの階層全ての酸素を取り込めます! って言って張り切ってた。


 まあ、二人を連れてたから時間が掛かったのもあるだろうな。


 そんなこんなで第五層の謎も無事解明し、俺は第六層へと歩みを進めた。

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