第523話 謎と罠


「ふぅ」


 まさか、この階層のボスもクロダルマだとは思っていなかった。それも腕が四本も生えているとはな。


 ひたすら遠距離から腕を放たれて、うざかったけど、どうにか走り回って同士討ちさせることができた。そして、その隙に近づいて今度こそアッパーカットを決めてやった。


 まあ、それでも死ななかったから、結局、竜人の状態になって口からブレス吐いたんだけどな。


 あ、それと、その戦闘中俺が第二職業で料理人だったことを思い出して、相手の臓器とか見てやろうと思って見たんだが、真っ黒だった。


 そりゃそーか、ってら見た後に気づいたんだが、黒い雪ダルマなんだから臓器もクソもなかったんだよな。俺はなんともアホなことをしてしまったが、まあ、今度生物系のモンスターが現れたら丸裸にしてやるつもりだ。


 そんなこんなで俺は今、第五層に来ている。そこは、真っ暗闇だった。


 ピト


「ひぇっ!」


 ど、どうやら上から水が、滴り落ちて来たようだ。な、何故、暗闇であるのにも関わらず水が落ちてくるのだ? 暗闇ってことは室内であるってことじゃないのか? い、いや逆に室内だから雨漏りっていう可能性があるのか?


 くそ、とにかく明るくしたいんだが、どうしようか、俺は爆発系の魔法は持っていても炎をつけるなんて便利な魔法はもっていないのだ。くそ、こうなったらペレに頼るしか……


 いや、待てよ。俺にはスキルがあるはずだよな? しかも二つもだ。それを使ってどうにかできないか?


「【夜見】、【暗視】」


 ……見えないな。


 恐らくここには全く光源がないのだろう。今の二つのスキルは暗いところであっても見えやすくなるというスキルで、視界に光源が届かなくても物が見えるスキルということではないのだろう。


 ふむ、ならばもうペレに頼むしかないな。


「ペレー!」


『今、俺の姿は見えないと思うが今ペレの目の前にいる、はずだ。だから、物を燃やすでも、マグマを出すでも良いから、とにかく明るくしてくれねーか?』


『畏まりました。では、床に火をつけたいと思います』


『おう、じゃあよろしく頼む』


『ファイヤーロード』


 ペレがそう口にした瞬間、まさかの出来事がおきた。


 ッダーーーーン!


 突如その場全体が爆発したのだ。空気を揺るがす大爆発、そう表現するのにぴったりな爆発だった。


「はっ! ぺ、ペレ!! 大丈夫か!!』


『ご主人様、私は大丈夫です。以前、ご主人様から賜りましたあのリングのおかげでなんとか一命を取り止めました』


『ふぅ、なら良かった』


 俺は大丈夫だけど、ペレは俺と違って普通に死んじゃうだろうからな。死んだらどうなるか分からない以上、助かってくれて良かった……


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