第519話 弄ぶ者


 そうだ、味変えをしたいなら、俺にはうってつけのスキルがあるじゃないか!


 俺はすぐさま祠に戻り、鮭の元に急行した。そして、ホワイトサーモンを見つけると、


「奪魂!!」


 すぐさま魂を奪った。そして、また今度は別のサーモンを見つけ、魂を奪い、今度は魂を授けた。


「授魂!!」


 すると、そこにいたのは、、、


〈Lv.350 ピンクサーモン〉


「うぉーー!」


 新種の鮭じゃねーかよ! これほどまでに俺の目論見通りいくとはな、これはデカイ。これならば、本当に無限の可能性が広がるんじゃないか?


 先程はホワイトサーモンの魂、レッドサーモンの体を使ってモンスター合成した。すると、その中間色であるピンクサーモンとなった。安直だが、それもそれで良いな。


 これは、やりまくりしかねぇな!


 こうか? いや、でも……こうかたら? いや、違うな。これをこーして、こうして、、じゃなくて、これをこーして……うぇ、まず! これは没だな。それならば……


「ふぅ、ふぅ」


 完成した。俺の最高傑作が。いくつもの鮭の屍の上に君臨する最強の鮭を! 


〈Lv.350 ピンクアトランティックキングサーモントラウト〉


 無尽蔵の体力とキングサーモンすら従える圧倒的な支配力でもって鮭を服従させ、相手に攻撃させる。


 つまり、自身は動かず、味方に攻撃させることで、その体は全く引き締まらず、たるみにたるみ、極上の脂肪をその身に宿すのだ。


 もはやお肉といってと差し支えないほどのその肉厚さと脂肪の量は、お肉を凌駕するほどの上質な脂と味の濃さで、他の追随を許さない。


 攻守だけでなく、味も兼ね備えた。まさに最強の鮭、ピンクアトランティックキングサーモントラウト、いざ、実食!


 パクリ


「う、うんまーーーー!!!」



ーーースキル【寄生共存】を獲得しました。


ーーー称号《マッドサイエンティスト》を獲得しました。


【寄生共存】‥寄生生物と一緒に共存する。MP、またはHPを与えることで、寄生生物の能力、特性を借りることができる。


《マッドサイエンティスト》‥生物の気持ちを全く考慮せず、私利私欲の為に命を弄ぶ。命を弄ぶ際に良い結果が出やすくなる。また、モンスターが仲間になりにくくなる。


 な、なんだこのスキルと称号は。俺は今まで寄生生物と共存してたってことか……?


 嫌だなそれは。コバンザメとかならまだ可愛いからいいだろうが、寄生虫と共存なんて嫌だぞ? それにマッドサイエンティストって、なんかもう自ら住まわせている感が漂ってて嫌だ。


 なんか、不潔そうだし、お断りだ!


 ……ってそんなこと言っても、どうしようもないのか。

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