第518話 死因
俺は、死んだのか……? いや、死んだ事実は受け入れよう。しかし、どうして死んだのかが理解できない。
俺は、キングサーモンの攻撃にやられたということか?
いや、あのキングサーモンはこの手で確かにやったはずだ。そして、その身を喰らったのだ。そして、そして……死んだ?
何故だ? キングサーモンを倒した後、必ず遅効性の死が待ち受けているとでもいうのか? それとも道中で食べたサーモンの量に応じてダメージをくらうとか?
そんなことがあるのか? まあ、邪の祠というからには、相手の食欲を誘ってそれで攻撃するという可能性も無きにしもあらずだが……
まあ、とりあえず死にまくるか。そしたら耐性スキルを獲得するだろ。
って、ここからまた祠に入ってあの層をクリアしないといけないとか、相当怠いんだが……
❇︎
パクっ
「うm」
よし、死んでるな。俺は初めて死んだ時から、これで結構死ねた。それに、どうやって死んでいるか分かってきた。
どうやら、俺は鮭を食べることによって死んでいる気がする。それこそ、道中のサーモンでも食べたら死ぬこともあった。つまり、どんな鮭でも食べることによって、確率で死ねるってことだ。
おそらく死因は同じだろうから、このまま続けていけばいつかは耐性が獲得できるだろうな。
あ、因みに道中はゾムに任せている。スプラッタな惨状が展開されているが、俺はみないようにしている。精神衛生上よろしくないからな。
パクッ
「うーm」
ーーースキル【寄生耐性】を獲得しました。
【寄生耐性】‥寄生生物によるダメージを軽減する。
お、ついに獲得した。死因は寄生だったのか、寄生虫? そう言えば鮭にまつわる逸話として、何か聞いたことがあるような……
「アニサキス?」
確か、そんな名前だった気がする。海棲生物に寄生する寄生虫で、生で食べると猛威を振るうらしい。加熱すればいけるみたいな話があったのだが、そもそも庶民はもうサーモンを食べることすらないのだ。特に意識もせずに聞き流していた気がする。
ふむ、寄生虫か……ちょっと限定的すぎやしないかい? まあ、これで思う存分鮭を食べれるのならば、残りのデスマーチも吝かではないな。
ーーースキル【寄生無効】を獲得しました。
【寄生無効】‥寄生虫、寄生モンスターに寄生されなくなる。
おぉ、ついに、ついに来た! これで鮭を死ぬほど食べても死なない!
でも、もう既にめちゃくちゃ死ぬほど食べたんだよな。実際、沢山死んだし。それに、そのせいで高級食材であるはずのサーモンを食べ過ぎて、飽きてしまっているという、謎の現象も起きてしまっている。
本来ならば有り得ないことのはずだが、これもまたVRゲームのなせる境地、ということだろう。
しかし、飽きたのは飽きたのだが、食べたくないというわけではないんだよなー。これはどうしたものか、折角の高級食材が目の前にあるのに食べれないなんて。
せめて、味変えさえできれば……
味変? できるかも!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます