第513話 ゾム?
ホーンラビットを倒した俺はそのままその階の攻略に乗り出した。
あ、そうだ。せっかくだからゾムに攻略させよう。さっきの感染もスケルトンにしたから普通にゾンスラになったけど、獣型モンスターにしたらどうなるんだろうな。
それとか、普通に戦い方も気になるからな。戦わせてみよう。
「ゾムー!」
「ぐ、グゥ」
うん、いい返事だな。ゾムに足りないのは圧倒的に経験だ。まあ、コミュニケーション能力も不足しているが、それは先輩達も通った道だ。
スカルとボーンを見れば、カタカタしかいえなかった二人が今となってはもう一心同体の俺の忠実なる腹心となっているからな。ゾムも焦らずともいずれそのようになるだろう。
しかし、今は違う。それに、先輩達が強すぎて自分の力を過小評価して、自己嫌悪に陥ってしまう可能性もある。そんな時に役立つのが成功体験なのだ。
自信を持つか持たぬか、手に入れるか失うかで人生は大きく変わってくる。まあ、ゾムはゾンスラだがな。
まあ、何が言いたいかと言うと、ゾムに戦わせて勝つと言う経験をしてもらいたいのだ。勝利の喜びは何にも替えがたいものがあるからな。
よし、もう前置きは十分だ。可愛い子には旅させよ、ならぬ崖から突き落とせだ!
「ガル、ガルゥ!」
目の前に現れたのはレベル350のウルフ。相変わらず基本的なモンスターばかりが登場するが、こいつに是非買って欲しいな。
「いけー! ゾムー!」
「ぐ、グゥ」
ゾムは発進した、超低速で。
ウルフは誰もが知っているように速さに秀でたモンスターだ。そんなゾムの行動を尻目に一瞬でゾムの腕を噛み切った。そして、グチャグチャと行儀悪く咀嚼し、飲み込んだ。
だが、ゾムはゾンビスライム、痛覚は愚か恐怖心すらない。それでもウルフに向かって突進する、超低速で、先ほどと全く同じ体勢で。
ここで違和感を感じれる人がいたら素晴らしい目と頭をもっている。そう、ゾムの腕が生えているのだ。スライムの力である再生能力の賜物だな。
ウルフは再生時、一瞬戸惑いを見せたが、それでも果敢に攻め立てた。
グチャ、ブシャッ!
何度も何度も遅いかかり、ゾムの四肢を幾度となく噛み切った。それでもゾムは再生し続け、突進し続けた、超低速で。
もうそれこそ幾度となく繰り返され、千日手に思えたその時、異変が突然現れた。
ウルフの方に。
「ガ、ガルぅぅ……」
相手のウルフは突然力なく倒れたのだ。
え、ゾム、お前なんかした?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます