第509話 名付け
〈Lv.325 ゾンビスライム〉
なんだこりゃ。どうやら俺は変な生物を作ってしまったようだ。見た目は、、いや素材がスライムで形がゾンビという本当に新しいモンスターだな。現実では愚か、アニメや小説でも聞いた事がないぞ?
「ぐ、グゥ」
お、おう。鳴き声はゾンビよりなんだな。まあ中身がそうだからそういうもんか。でも、本物のゾンビと違って体が腐っておらず、むしろ透き通るような水色であるから、潜在的な嫌悪感は少し薄れている。
「って、うぉっ!?」
突如、ゾンビスライムが襲いかかって来たのだ。いや、近づいて来たという方が正しい表現だな。その動作があまりにもぎこちなさ過ぎたせいでそう思ってしまっただけで、俺が反射的に距離をとると、それ以上近づいてくることも。攻撃してくることもなかった。
俺に近づきたかったのか? そう考えると少し可愛く思えるし、のけぞってしまって申し訳無い。
もしかすると、この死骸魔術で生成したモンスターはもう最初から俺に懐いている、いや俺を親だと認識しているのか? でも、中身はゾンビのまんまなんだろ? ゲーム的な仕様なのか? まあ、いいか。最初のモンスターだし、配下に加えておくか。
「【服従】!」
「ゾンビスライムの服従に成功しました。名前をつけますか?」
お、お決まりのやつだな。俺が小さい頃遊んでいてモンスター育成型ゲームでは、名前はつけずに本来の名前のままいくのが好きだったんだが、今はもう名前をつけないと逆に変な気分だよな。
まあ、実際そっちの方が愛着湧くし、逆の立場になって考えると嫌だよな、人間とかヒューマンって呼ばれるの。だから積極的に名前は付けていく。
「よし、ゾンビスライム略して、ゾムだな! これからよろしく!」
名付けとはその行為が重要であって、その完成度に優劣はない。これは俺の座右の銘、ではにが、大事にしれいる言葉だ。だからこれでいいんだ。
ーーー称号《生みの親》を獲得しました。
《生みの親》‥新種のモンスターを自分の力で生み出す。自らが生み出したモンスターからのなつき度が上昇する。
あ、やっぱり懐いてたんだアレ。そう考えるとますます可愛いな。俺は、自分に好意が寄せられると返したくなるタイプだから、俺もゾムの事が好きになる。まあ、人間には好意の返報性って備わっているらしいけど、備わってない人もいるかもだからな。俺は備わっているようだが。
それにしてもゾムには他にどんな特徴があるんだろうか。俺が無理やり作ったことによる弊害とかはないのだろうか。そこら辺はやはり生みの親としては気になるところだな。あ、念話を使えばいいのか。
『初めまして、ゾム。君の生みの親になるものだ。よろしくね。ところでだが、どこか体が痛いところはないかい?』
『ぐ、グゥ』
え?
『大丈夫かい?』
『ぐ、グガ』
あ、これ喋れない奴か。
確かに、ゾンビとスライムってINT低そうだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます