第506話 一人の時は独り言増えるよね


「ん、んー」


 飛ばされた衝撃から意識が回復すると、そこはどこか見慣れた風景が広がっていた。


「……ダンジョンじゃねーかっ!」


 そういえば、祠の下にあったのも、今思うとダンジョンに入るための穴だったな。ダンジョンに入ったのは最近な気もするけど、少し前な気もするからすっかり忘れてたぞ。


 それよりも、今からダンジョンが始まるってことか? 今までの島はなだったんだ? 


 まあ、確かに邪の祠、という名前のくせに島にいるモンスターを駆逐してたから、これってもはや邪の島だろとは思っていた。


 思っていたのだが、こうなってくるといよいよちゃんと邪の祠じゃないかよ。


 あの島を前座に据える程のダンジョンということでもある。どんなものか楽しみ半分、恐怖半分だな。


 カタカタカタカタ


「なっ……!?」


 早速攻略を始めようとしたところ、モンスターの音がしたことで出鼻が挫かれてしまった。


 それにどこかで聞いたことある音だと思ったら、


「スケルトンじゃねーか!」


 スカルとボーンを仲間にした手の頃はよく聞いていた音だな。今ではもう、念話を使えるようになってしまったが、最初はコミュニケーションも苦労したもんだ。


 ってそんなことより、アレだけの前座があって、邪の祠最初のお出ましがスケルトンとは、ちょっと拍子抜けだな。難易度はここからまたリセットされるってことか?


 そんなことなら従魔たちを出すまでもないな、俺一人で十分そうだ。最初は飛ばしてどんどんいきますか!


 キンっ!


「え?」


 弾かれた? 俺の剣が? え、確かに何も力も入れてないし、まともに振ってないし、バフすらもかけていない。だが、それでもこの剣は爺さんが作ってくれた業物だぞ? なんでスケルトン如きが弾いてるんだ?


 その後も真面目に剣を振ってみたのだが、無傷とは行かないまでも、それほどダメージは入っていない様子だ。なんだ、このスケルトンは、もしかして百体に一体とかの確率で出現する、レアエネミー的なやつか?


 そう思って、相手のモンスターを確認すると、


〈Lv.300 スケルトン〉


「え、300?」


 俺、まだレベル百台なんですけど……


 スケルトンだと思って舐めてかかると痛い目を見ますよってことだな。くそ、この邪の祠、やることがしっかり邪だな。レベル差は時に種族差さえも凌駕してしまうということをちゃんと示唆しているところもむかつくな。


 相手がそう来るなら、俺も俺なりもやり方でやらせてもらうか。


 いかに相手がレベル300の大台に達していたとしても、こっちがやられるわけじゃない。足手の攻撃をちゃんと見て、しっかり避けて、反撃すれば勝てるのさ。そして、瀕死にまで追い込んだら……


「【服従】!」

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