第504話 祠攻略に向けて


 アシュラが敵モンスター倒した後、この場に静寂が訪れた。


「ふぅ、」


 俺はアシュラを還した後、一息をついた。ここまでノンストップで駆け抜けてきたからな。それになんだかんだずっと従魔を召喚しっぱなしだったから、少し疲れたのだ。


 やはり一人でいるのが一番楽だよな。現実でも、どんなに仲のいい友達と一緒にいても疲れる時は疲れるからな。そういう意味での気の置けない仲っていうのは貴重なんだろうな。


 よし、とりあえず戦闘は一旦終了して、振り返りをしてみよう。今まで倒してきたモンスターは、ペレが秒で倒した敵を除くと、オーガサイクロプス、ダストパーティカライザー、そしてゴリラじゃなくてゴルディックラースだな。


 この三体を見てみるとある共通点が浮かび上がってくるのだ。それは、全員ゴツいということだ。オーガサイクロプスは言うまでもなくゴツかったし、ダストは筋肉的な意味でゴツかった。ゴリラは体も大きくて、金属的に硬かった。


 細部の特徴は違うにせよ、ここまでもゴツいキャラが連続することはあるのだろうか、もし、たまたまだとしたらそれは凄い偶然で、凄い確率なのだろうが、それはないと思う。なぜならここがゲームの世界だからだ。人為的な世界だからこそ、こんな偶然はないと思っても良いだろう。


 となるとだ、なぜこれほどまでにごりごりなキャラばかりなのか、と言う疑問に対して説明が必要になるわけだが、、、なんでだろ?


 別に邪の祠だからってわけでもないだろうしなー、んー、もしかしたら、ここで強くなれる事と関係があるのか? ここの最深部に到達することができて、強くなることができたら、あなたはゴツくなりますよ、って言う暗示なのか?


 うーむ、ますます謎は深まるばかりだな。せっかくなら解き明かしてみたいのだが、情報が少なすぎるな。それにもしかしたら他のモンスターを見るうちに他の共通項が見つかるかもしれない。であるならばもっと探索を続けて情報を集めることが先決であろう。


 では探索するか。んーだが、まあそうだな。当分は一人でも良いだろう。アシュラのおかげでここらの敵ではウチの子の相手は務まらないって事が分かったからな。べ、別に一人が良いってわけじゃないぞ? ほんとだからな?


 あ、そうだ。アルスがしようとしてできなかった、この地形の把握をしてみよう。俺が本気を出せばもしかしたらいけるかもしれないな。まあ、できなくても、できなかった、という情報だけでも何かあると言う事が分かるからな。やるに越したことはない。


「【叡智啓蒙】、【己没同化】」


 自分の感覚を周りに同調させ埋没させていく、そしてまるで自分の体かのように周囲の出来事を体感していくのだ。そうすることによってどのくらいの広さんなのか、どのくらいの敵がいるのか、も分かるのだ。


「っ……!?」


 何か、阻まれるような感覚がある。自分の意識を同調させようとしても上手く入り込めない、まるで既に先客がいるような、そんな気配だ。それもかなりの気配の持ち主だ。今の俺では到底太刀打ちできなさそうな、そんな気配、オーラを感じる。


 これ以上続けても何も得られなさそうと言うところで一旦、スキルを解除する。それにしてもこの邪の祠、かなり大きいぞ。


 俺は自分を中心に円状に感覚を広げていったのだが、俺がきた方向はすぐに海が見えてきたにも関わらず、奥に続く方は、まだまだ全然奥があるようだった。


 この島が綺麗な円状になっているかはわからないが、俺の感覚の円と比較してもかなりの大きさである事が伺えたのだ。恐らくこの島の踏破率は10%も超えていないのではないだろうか。


 ここからの道のりは長く険しいものになりそうだな。


 よし、とりあえず奥までいってみるか! こんなところでウダウダしてても仕方がないからな。ボスやその近くまで行って、無理ならまた鍛え直せば良いだけだし、いけるなら行ってしまった方が楽だろ? ってなわけで、


「【韋駄天走】」

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