第502話 親の感情
アスカトルを還しながら、俺はふとあることに気がついた。
俺は今まで何をしているのか、と。
ここに来てからしたことといえば、オーガサイクロプスを倒したのと、モンスターの位置を探ったことと、あとは回復したくらいか? まじでこのくらいしかしていないぞ?
ま、まあ従魔の成長を見届ける、といえば聞こえがいいが、俺が満足できていない。俺が攻略しようと来たのに、このままでは従魔たちだけで終わってしまいそうだ。そうなったらそうなったらでもう諦めるが、まだ諦めたくはない。
だが、ここで俺一人になってしまうと、今までの三体だけ優遇したみたいになって嫌なんだよな。俺は愛情は平等に分配してやりたいからな、うん。
「というわけで、アシュラー!」
『はっ』
アシュラは膝をついての登場だ。なんか、ますます武人らしくなってきたな。ここまでくると、いずれ俺が死んだら一緒に自害してくれそうだよな。まあ、流石にそんなことは望まないけれども。
『アシュラ、お前は何を望む?』
『はっ、強い敵を』
シンプルだな、おい。まあ、確かにアシュラは強いしデカいからより強さを求めたくなったり、己の力を誇示したくなるのだろう。
なんと言ったってオーガサイクロプスにヒケを取らないその迫力だ、並の敵じゃその相手は務まらないだろうな。まあ、実力でいったらアシュラの方が格上だろうけど。
『分かった。ではここら辺で最も大きな反応がある所へ行くとするか、それで大丈夫か?』
『はっ、ありがたき幸せ』
でも、ここら辺と言ってもこの島、思ったよりも広いのか、俺が割と全力を出して探知しようとしても思ったほど探れないのだ。もしかしたら、何か阻害しているものがあるのかもしれない。さっきのアスカトルの配下もそうだったからな。
まあ、俺でも頑張って、結構大きめの気配を掴んだ。オーガサイクロプスはもちろん、ダストパーティカライザーよりも強そうな雰囲気だ。恐らくこのくらいでいいだろう。
それこそもっと奥に進めばまだまだ強い敵はいるかもしれないが、一応ここら辺の範囲内ということで探しているからな。そこは了承してほしい。
『よし、じゃあ駆け足でいくぞ!』
『はっ!』
駆け足で進み始めると。もちろん敵が襲ってくるのだが、俺は素通り、アシュラは一刀の下に斬り捨てている。確実に死んでいるかはわからないが、ほとんど致命傷だろう。それに俺は楽できて嬉しい。
俺はもう、従魔たちのターンが終わるまでは何もしないことにした。だってその方が無駄な期待もなくなるし、純粋に成長を楽しめるからな。全員が楽しんだ後に俺が楽しめば良い。
アシュラは俺が爺さんに作って貰った剣をしっかりと使ってくれている。これは地味に嬉しいポイントだ。今までのみんなも使ってくれていたが、それはどちらかというと装備だったからな。
武器なら、ちゃんと使う瞬間というものが見れて喜ばしいのだ。これならばプレゼントした甲斐があるってもんだな。
……俺も子供ができたらこんな気持ちになるのだろうか。
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