第500話 アスカトルの反撃
『ご主人様! どうか、どうか私に任せて頂けないでしょうか?』
配下にここまで言われてしまったならばもう、俺が出る幕はないな。最後まで見届けることにしよう。ただし、
『優秀な配下であるお前を失いたくはない。死にそうになったら俺の判断で介入するからな』
『……っ! ありがとうございます、キシャ』
そう言ってアスカトルは再び闇に消えていった。アスカトルに何か策があるのだろうか? でもここはアスカトルを信じるしかない。まあ、これもアスカトルにとって大きな経験になるだろう。
上に立つものとして、下の者を育てることも責任のうちに入るからな。任せて、経験させることによってのみ成長できると思っている。
そりゃ、もちろん助けを求められたら躊躇いなく助けるし、死にそうになっても助ける。まあ、これはエゴだけどな。親が過保護になるのと同じ理論だ。どんな親でも子供に先立たれるのは嫌だろう。
そんなことを考えている間も相手は静かに座していた。動いたのは先ほどの裏拳のみだ。動く基準はなんなのだろうか、攻撃された回数、それか食らったダメージ量、それとも何か別の指数があるのだろうか。
ギャンッ!
アスカトルが攻撃を仕掛けたのだが、またもや弾かれ、大したダメージは入っていない。しかし、今回は反撃はなかった。
うーん、アスカトルの狙いがイマイチわからない。ずっとこうしているつもりなのだろうか。恐らく何か考えがあるのだろうが、何をしているんだ? データを集めているのか? それとも時間をかけることによって、何か大きなリターンを得られるのか?
その後もアスカトルの奇襲は続いた。時には反撃されていたが、それでも何度も、何度も攻撃を繰り返していた。
そして俺はようやくアスカトルの意図を知ることとなった。
「ウグッ!」
もう、何度目なのか考えようともしなくなった時、相手に異変が訪れた。相手が突然苦しみ始めたのだ。胸を抑え、苦痛に耐えているように見える。額には血管が浮き上がっており、汗も大量に吹き出している。
そして、相手が苦しんでいる中でアスカトルがやってきた。そしていつも通り攻撃を仕掛けた。が、そこには何十回と見た光景とは異なるものがあった。
「えっ! なんでっ?」
相手が、反撃し、それをアスカトルが避けることは何回も奇襲していくうちに見かけるようになった。しかし、今、アスカトルはそのカウンターを避け、さらに追撃を仕掛けているのだ。それも一撃だけではなく、継続的に、だ。
「なんで、なんで息できているんだ……!?」
そこには、平然とした姿で相手の攻撃を避け続け、攻撃を仕掛けていっているアスカトルの姿があったのだ。
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