第493話 戯れとモチベーション
「レベルアップしました」
倒した。オーガサイクロプスを倒すことに成功した。
天駆を発動し、顔前に移動してそのまま目を貫手の要領で突き刺したのだ。どれだけ体が頑丈でも、目は万物の弱点だからな、しっかり食らってくれたようだ。
しかし、邪の祠の初戦からだいぶハードな戦いだったな。思いの外、手間取ってしまったし、ダメージも食らってしまった。まあ、不注意だったとはいえ食らったという事実は変わらないからな。
それにしてもまさか音にダメージ判定があるとは、想定外過ぎた。音で攻撃って何気に強くないか? 耳栓をしないと防げないし、耳栓をしたらしたらでもし、相手が大人数だったらコミュニケーションに難が出てしまう。
まあ、それでもハンドサインとかで解決できるかもしれないが、それだと咄嗟の指示とかが難しくなりそうだよな。まあ、念話を獲得すれば良いだけの話ではあるが。
だが、それ以外の点からも音による攻撃は優秀である。ダメージが発生する範囲は決まっているだろうが、その範囲にさえ相手が入っていれば、面制圧攻撃が可能になる。
更に、例えその範囲外に相手がいたとしても大爆音というのはダメージがなくても相手の行動を阻害できる厄介な代物である。
何故、俺がこれだけ音攻撃の凄さを解説しているかというと、それはだな、
「グギャアアアアアアア!!」
耐性を獲得するまでのモチベーション維持だ。無効化を獲得すればこれらが全部防げる! って思わないとやってられないのだ。
もちろん、その凄さをちゃんと理解することによって耐性を獲得した時に恩恵をしっかり感じる為であるぞ。なんとなく死んでなんとなく耐性を獲得するってなんか嫌だからな。
だから、しっかり考えるのだ。まあ、後は自分がもしその攻撃方法をゲットした時用の予習でもあるな。
「グギャアアアアアアア!!」
それにしても、ダメージが発生する咆哮はオーガサイクロプスにある程度ダメージを入れないとしてくれないから、少し時間が掛かる。まだ救いの手があるとするならばそれはオーガサイクロプスがそこら辺に湧いて出てくる雑魚エネミーってことくらいだろうか。
「グギャアアアアアアア!!」
まあ、雑魚って言ってもここでの話なんだけどな。
俺は、コイツと戦っている時に、もしかして最初からレアエネミーでも引いてしまったか? と心のどこかで期待していたのだが、全くそんなことはなかった。
恐るべし、邪の祠。
ーーースキル【爆音無効】を獲得しました。
【爆音無効】‥爆音によるダメージを無効にする。また、行動に影響がある音を無効にする。
お、やっと獲得できたな。マジで今回はしんどかったな。なかなか吠えてくれないし、チャンスは一回だからHP調整もしないとだから、本当に大変だった。
だが、それだけのことをする価値はあったようだ。音によるダメージだけでなく耳栓の効果もつけてくれている。これで俺はもう咆哮に怯える必要はないし、オーガサイクロプスと戯れる必要もないな。
よし、では攻略を再開しよう。
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