第481話 受け取り
強大な力をその身に宿す、か。なるほど、その為に人々はその邪の祠に挑戦するというわけか。
しかし、そこは恐ろしいモンスターが跋扈する魔境なのだろう? そう易々と人が強くなれるのならみんなこぞって行くのではないか? それこそ年に一回の遠足みたいなかんじでな。つまり、
「邪の祠で実際に強くなった奴はどれくらいいるんですか?」
「ふっ、まあ、わしも全てを知っているわけではないが、知る限りじゃと一人もおらんのう。どうだ、怖気付いたか?」
「まさか」
俺は肩を竦めた、本当にまさかである。まあ、俺はプレイヤーだからNPCとは根本的に何かが違うんだけどな。
まあ、それを差し引いても行きたいという気分だな。未開の場所に行く、ってだけで男は興奮するようにできているからな。
「では、その場所をお教えいただけますか?」
「いいだろう。しかし、本当に恐ろしい場所なのだ。また、お主に会えるのを楽しみしておるぞ」
ふふっ、これは爺さんなりのエールだろうか。そしたら、爺さんもだいぶ口下手だな。それも獣人特有の言い回しだったりするのだろうか。
「はい、私もです」
俺は爺さんから地図を受け取り、その場を後にした。
❇︎
爺さんから地図を受け取ってどれくらいの時間が経っただろうか。俺は祠に向かうための準備をしていた。
装備が完成してから向かいたかったため、その装備ができる一ヶ月の間だけの準備、ということだ。
そして、とうとうその一ヶ月が経過した。俺は今、鍛冶屋に来ていた。もう、何回も来ているこの場所は俺にとってもっとも安心感のある場所と言っても過言じゃないほどだ。
毎回、確実に俺の期待に応えてくれるこの爺さん、今回もまず間違いないだろう。
「おぉ、お主か。装備、完成したぞい」
その表情はどこか、清々しい顔というか、やりきったような顔に見える。
「それで、装備はどこにあるんですか?」
「ここにある」
そう言って、爺さんが示した先には六つの装備が宝石のように飾られていた。どれもが美しい輝きを放っており、一級品というのが一目で分かる。
「こ、これは……素晴らしい。ありがとう、本当にありがとうございます、爺さん」
「気に入ってくれたようなら良かったわい」
どうやら、従魔一体につき、一つの装備品ということらしい。一ヶ月に六つなんて割と無茶を言った気もするが、完成できたのならば大丈夫だったということだろう。
では、装備を確認するか!
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