第479話 お金稼ぎ
「裏の情報、だと?」
「そうじゃ、普通に生きていては手に入らぬ情報、と言えばわかりやすいかの? そこらの人間は勿論、ギルドや王家でも知らぬかもしれぬ情報じゃ」
「なっ……!?」
そ、そんな情報があるのか? 確かに、もしそんな情報があるのならば知りたい。俺にしっかり金を返させるには脅したりするなんかよりもよっぽど有効的な方法だな。しかし、それは少し甘いんじゃないか?
俺は剣を取り出し急接近し、喉元に刃を突き付けた。もちろん殺してはない、単なる脅しだ。
「俺が脅して無理やり聞き出そうとする可能性は考えなかったのか?」
だが、そんな俺の行動に一切の動揺も、回避行動も見せずに、
「ふふっ、もし、其方がそんな奴じゃったら息子を預けたりせんし、預けた時点で脅して金を貪ろうとしておったじゃろう。その点において其方は信用しておる」
そうか、そこまで見透かされていたのか。まあ、確かに俺は普通に金を返そうと思うだろうし、事実そうするだろうな。それに、そんなこと言われると尚更せざるを得ない、漢ならな。
「なるほど、ではすぐに返しに来ますね」
俺は急いで部屋を飛び出した。
❇︎
ヒューマンの国に戻って来た。やはりこちら側は実家のような安心感があるな。だが、そんな感傷に浸る間も惜しい、急がなくては。
鍛冶屋に急行すると、すぐさま爺さんの元に駆けつけ、金だけ置いて去った。爺さんは目を見開いていたようだが、とにかく急いで金稼ぎをしないといけない。
今回、組に借りたお金は1000万ほど、それを全て置いて来たから、足りるはずだし、それ相応の装備を作ってもらいたい。
それで俺は今からギルドを回って金稼ぎの時間だ。ウチのギルドは高難度の依頼ばかりだが、その分一つ一つの単価は高い。兎に角依頼を受けまくろう。
❇︎
ふぅ、取り敢えず十個ほど依頼を完了してきた。全てモンスター討伐の依頼で、久しぶりに本気を出した気がする。急所を突いてなるべく手短に倒すことを心がけた。
それにしても、意外と金を稼ぐのって簡単なんだな。ギルドに預けていたお金をも相まってこれで1000万は貯まった。
装備の完成までは一ヶ月ほど掛かるらしく、取り敢えず組に戻ろう。裏の情報、というものが気になりすぎる。
あ、因みに鍛冶屋に必要だと言われた素材は全て用意して届けている。必要な素材が手に入る依頼を受けることで手間を省いたのだ。まだまだ知らないモンスターが沢山いたから、やはり世界は広いと痛感させられたな。
よし、では行こう。
❇︎
よし、着いた。
俺は同じ道を同じ日に行き来するのがそんなに好きじゃない。何故なら無駄というか勿体ないというか、そういう気持ちが生まれるからだ。さっき行った時にしとけば良かった、っていうことだな。
だからハーゲンには超本気をだしてもらって一瞬で移動してもらった。ジェットコースターみたいで非常に楽しかった。
目の前には少し前にも見た、爺。いや、組長。
「ここに金を用意した。では情報を聞かせてもらおうか」
「ほう、もう用意したのか。流石と言ったところか。では話すとしよう、其方は知っておるか? 邪の祠というものを」
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