第473話 忘れ物


「修練メニューの達成を確認しました。当機所在の場所までお戻り下さい」


 よし、戻るか。


 と言っても俺は今し方ログインしたばっかりなんだけどな。恐らくずっと拘束されていてくれたのだろう。うん、可哀想だけど家宝を俺に渡すとか、死ぬとかよりかはよっぽどましだろう?


 拘束されただけで全部許されるのなら、それに越したことはないはずだ。


 ❇︎


 まだ、謹慎中なのか、あまり人気がない通りを抜けて、あの修練場に戻り、機械の前に立った。


「修練メニュー達成を確認しました。スキルのランクアップを開始します」


 拘束が一体どんなスキルになるのだろうか。このランクアップは思いもよらぬ方向のこともあれば、順当な進化と思える場合もあるからな、とてもワクワクする。


 こういうのは男である限り、いつになっても興奮してしまうものだ。


「おめでとうございます! スキル【拘束】は【高速拘束】にランクアップしました!」


「……はい?」


 あれ、おかしいな。俺の聞き間違いだろうか。今、ちゃんとランクアップできたか?



ーーースキル【高速拘束】を獲得しました。


【高速拘束】‥対象を高速で拘束する。熟練度に応じてそのスピードは上昇する。拘束強度は消費魔力に応じて増加する。


 え、えぇー……マジかよ。


 でもまあ、確かに拘束というスキルを進化させたら確かにこうなる、のか? ま、まあ妥当な感じはしなくもないが、うーん。これはどうなんだろうな、判断に非常に迷うぞ。


 もう少し、スキルを進化させるか? だが、今のところ全部二十四時間という制限時間があるからなー。ちょっとここいらで一つゆっくりしておきたい。


 自分ではない何かに縛られるのは好きじゃないのだ。特に時間感覚は自由でいたいよな。何時に寝るとか起きるとか、ご飯食べる時間とか。全部気の向くままにしたいよな。


 今思うと、よく学校なんていうシステムに耐えられたもんだ。まあ、そのシステムしか知らなかったからだろうが。


 よし、そうだな。なんとなく、懐かしい所に行ってみるか! 鍛冶屋とかスキル屋とか最近行ってなかった気がするし、久しぶりに行ってみよう。


 そうだ、前、ハーゲンに装備を作ってもらったように、従魔全員分の装備を作ってもらおう。俺は今の装備がかなり気に入っているから、もっと強い悪魔を倒したらその素材を使って強化してもらおう。


 そろそろ悪魔に本腰を入れ始めてもいいかもな。まあ、その為には俺だけじゃなくてみんなの準備をしっかりと進めていかなきゃならんからな。


 備あれば憂なしとかいう、そういう奴だ。まあ、完全な備っていうのもないとは思うがな。全ては結果論な気がする。


 まあ、取り敢えず行くか。


 ん? なんか忘れてるような……


「まあ、いっか」

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