第465話 種明かしと目覚め
超能力、なのか? そうでもなきゃこの隱遁を発動しているのに見つかるなんて状況に説明がつかないんだが? もしや獣人特有の相手のスキルを無効化するスキルみたいなものがあるのか?
「おい! いい加減観念して出てきやがれ! もうお前が隠れてても無駄なんだぞ!」
ってか、そもそもなんで俺の居場所がわかったんだ? その時点でおかしいよな? コイツをボコボコにしたあの場所からかなりの距離があるぞ? それを辿るだけでもかなり大変なはずなんだが。
ん? ……辿る?
「にゃ」
こ、これは流石にバレるか。それにここまでついてこれた理由も分かる。だって、足跡が違うんだもん。
この獣人の国は何故か道路というか道が全て土でできている。そのため足跡が割とハッキリつきやすいんだな。そしてみんな裸足なんだ、だって獣だからな。
そんな中、俺一人装備を装着しており、足跡も生物からすると歪な形をしていれば分かるよな。うん、なんでこんな簡単なことに気がつかなかったのだろう。
だって、このオツムが弱そうな獣人の若者でさえ気がついたんだぞ? なら俺が気づけても良かったんじゃないか? まあ、獣人特有の視点だから、なのかもしれないが、それにしても迂闊だった。
「おい! さっきから無視してんじゃねーよ! お前はもう逃られねーんだよ! 次、返事をしなかったら、お前を取り押さえるからな!」
ふむ、次のチャンスとか言わずに今すぐ取り押さえればいいのにな。そんかに一対一がしたいのか? まあ、それも取り押さえた後にすればいいだけだしな。何がしたいのだろうか?
だが、俺はどうしようか。ここから逃てもいいのだが、逃てもまた終われるだけ。いや、もう足跡はつけないから恐らく逃げ切れるはずだ。
となると、もう俺がコイツと闘う道理がなくなるんだよな。うーん、でも折角、俺を出し抜いてここまで追ってきたんだし、要件だけ聞いてやるか。
「おい! お前ら行くぞ!」
「待て」
俺がそう発言し、姿を現した。そして、密かに麻痺の魔眼を発動した。それによって、俺の言葉にビビって皆が立ち止まった、という風に錯覚するだろう。
「折角、私の場所を突き止めたのだ。要件を聞いてやろうじゃないか。だが、また一対一というのはナシだぞ? 私もそれほど暇ではない、雑魚相手に使う時間などないのだ」
「なんだとぉ!? お前ら! 何固まってんだ、アイツを全員でぶっ殺せぇ!!」
「そうか、それが望みか。ならば軽くあしらってやろう」
「はっ、この人数、いくらお前でも無理だろうが! 粋がってねーで、さっさと死んじまえ!」
弱者っていうのは相手との力量も分からないんだろうな。一対一でやった時、相当ボコしたんだけどな? それなのに人数でどうにかなると思ったのか? まあ、思ったんだろうな。
よし、殺さない程度に伸ばしてやるか。
「【爆虐魔法】、グレネードボム」
ッダン!!
ふぅ、悪役ムーブって案外楽しいんだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます