第463話 逃亡と遭遇
「【天駆】」
俺は力の限り、垂直跳びをして、そのまま文字通り天に駆けて行った。そしてかなりの高度を確保した上でハーゲンを呼び出して飛び去っていった。
うん、やっぱ捕まるのなんてまっぴらゴメンだ。どうせ重罪なんだろ? ならこの段階で一つ罪を犯したくらいで変わらないよな、うん。
眼下、と言っても豆粒程の大きさになってしまっているが、匂いと気配が消えたからか、右往左往して戸惑っているようだ。まあ、追ってきても流石に殺しはしないがどんなに大捜索になっても絶対に逃げ切ってみせる。
ってか今思ったんだが、そういえば今俺が載っているハーゲンの姿は普通にみえてるんだよな? もし、ハーゲンが俺の従魔だと特定されてしまうと、空を飛ぶだけで危険だし、降りることも出来なくなってしまうだろう。
まあ、バレなければいいという話だがもしバレたら厄介だということだ。俺自身は隠遁で姿を晦ますことができるが、ハーゲンやその他の従魔も隠せた方がより隠密性は上がるだろうな。
なるべく早い段階でこの問題を解決した方がいいだろう。隠遁の効果が複数人になったバージョンのスキルを獲得するか、俺にかかる効果を複数人に向けて発動できるようなスキルをゲットするか、どちらにせよそのようなスキルの獲得も視野に入れつつ行動しよう。
そうなってくると、なるべくハーゲンの使用も控えた方がいいな。隠密性だけでいうと俺の単体の方が上だからな。
『よし、ハーゲンありがとう。帰っていいぞ』
『はいっす!』
「あ、」
っと、流石に同じ失敗はしないぞ? 危うく墜落する所だった。
本日二度目の獣人の国、上陸だな。そういえばハーゲンに乗ってる時にデトを呼び出して擬態しておけば良かったな。また、ここでしようと思うと周りの目を気にしないといけないからな、やらかした。
そんなことを思ってると、
「おい、お前がさっき港で騒ぎを起こしてた奴だな?」
また、めんどくさい奴に見つかった。しかも、若い、イケイケの子だ。面倒臭そうな臭いがプンプンと漂ってるぞ?
「おっと、そんな警戒しなくても良い。別にお前をとって捕まえようってわけじゃねーんだ。あれだけ囲まれたのにも関わらず逃れたんだ。その実力を見込んで俺と勝負をして欲しい。ただ、それだけだ」
え? 勝負? ってか、俺まだ隠遁発動してるんですけど、なんなんだコイツは。まるで俺の姿が見えてるかのような喋り方だな。獣人達には俺の隠遁は効かないのか?
「おいおい、無視かよ。それともまた逃げるのか? 安心しな、もし断ったり逃たりした場合にはもちろんテメェは衛兵さんに突き出してやるからよぉ」
「…………」
マジでなんなんだコイツは!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます