第454話 ラストホープ


 先ず最初に俺の元に来たのは、アスカトルだった、やはり仕事が早いな。今回も配下召喚を使って乱獲しまくったのだろうか。


 ん? となると、これはアスカトルの配下が集めてきたってことだよな? つまり、蜘蛛……まあ、今さらか、考えても無駄だよな。どうせ食べないといけないんだ。


 修練メニューの、料理の方はクリアしているから残りは合計数、種類、そして食中毒だな。食中毒も入っているあたり、この修練の狂い具合が分かるってもんだよな。


 アスカトルが持ってきたのは大体二百いかないくらいだな。俺はそれを一心不乱に食べ続ける。あと、いつでも食中毒を起こせるように、貫通は常時発動中だ。


 まあ、食中毒にさえなればいいのだから、毒状態になった瞬間に貫通を解除すれば命の危険もない。我ながら良いシステムを作ったのではなかろうか。


『ただ今戻りました』


 次に帰ってきたのはペレだった。アスカトルは糸を編んでキノコの入れ物にしていたんだが、ペレはマグマを冷やして固めることで、背負える入れ物にしたようだ。賢いな。


 そしてペレは火山方面で活動をさていたのか、火山に生息していそうな赤いキノコが多かった。まあ、食欲は然程そそられないが、種類を達成する為には非常にありがたい。


 そんなことを考えつつも俺はひたすらに食べ続けている。お礼は後だ。


 しかし、もう三百くらいは食べてるんじゃないか? キノコは一個一個が小さいから意外と食べれるのだ。



 パク、パク、パク


 一つのキノコに対して咀嚼回数は三回。なるべく全体を噛むようにして食べていく。キノコをこんなにも効率よく食べようとした奴他にいるだろうか?


『『戻りました』』


 お、スカルとボーンだ。背中には木の枝で編んだ籠をからっており、しかも、二人分だ。これは期待できるぞ。


❇︎


 スカルとボーンの持ってきたキノコを全て食べ終えた後に、ステータス欄を見ると、あの特訓メニューが書かれていた。



・今から二十四時間以内に合計千個のキノコ類を食べる。 543/1000

・今から二十四時間以内に合計百種類のキノコ類を食べる。 75/100

・今から二十四時間以内に合計五十種類のキノコ料理を食べる。 50/50

・今から二十四時間以内にキノコ類による食中毒を合計三十回起こす。 30/30



 これを見ることで、新たな事実が発覚した。どうやらもう食中毒は済んでいるようだ。いつの間におわったのだろうか。まあ、終わってくれてる分にはとやかく言うつもりはない。そして、料理ももちろん終わっている。


 問題は上二つだ。残り四百五十七個、種類は二十五種類も残っている。これは残りの二人に賭けるしかないな。


「あ、アシュラ!」


 ここに来て増援! でかしたぞ、アシュラ! 


 そう考えたのも束の間、アシュラにはキノコを入れる入れ物が見当たらなかった。そして手にはキノコ、一つの手につき一つのキノコを持っている。


「え?」


❇︎


 話を聞くと、どうやらアシュラが行った先にはそんなにキノコが無かったらしい。それに、入れ物もなく、どうしようもなかったらしい。


 ……まあ、入れ物に関しては俺が悪いな。何も考えずに散開させてしまったからな。


 となると、最後の希望はやっぱりアイツに託されたってことだな。

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