第448話 パナス


 ここは何かある。絶対に何かある。だって、俺が走れば壁に激突させて、曲がり角に行かせるし、そもそも歩いていれば壁や曲がり角すら現れないのだ。


 何者かが、何かを隠すためにこのような仕掛けを作っているのだろう。俺がこの通路を歩き始めてもう既に何時間も過ぎているはずだ。


 流石にこれは何か手を打つか、撤退するかしないと不味いな。だが、ここまでくると撤退させてくれるのかも怪しい。仮にできたとしても今までの時間が無駄になることを考えるとそれもしたくない。


 となると、どうにかこの謎を解明しなければならないのだが……


「んー、面倒くさいな」


 いや、面倒くさいは嘘だな。考えても分からないが本音だな。だって、どうやったらこれが解けるかわかるか? 真剣に考えても無理だろう。それを俺はできないって認めるのが嫌で面倒くさいって言ったんだ。


 というわけで絶対これは俺には手に負えないから、全部ぶっとばそう。そうすれば早いよな。この通路を見つけた時もそうだったし、行き詰まった時は大抵丸ごと全部ぶっとばせばなんとかなる。


 それにぶっ飛ばすことでより広い視点から見ることができるからな。いき詰まってる時っていうのは視野が狭くなってるからな。それを正す為にもこの爆発療法というのは有効なのだ。


 という訳で、


「……【マテリアルボム】」


 なんだかんだこのスキルはまだ使ったことがないスキルなんだが、試運転にはちょうどよかったな。人目につかないし場所も広いし、最適じゃないか。


 いざ、発動してみると、爆虐魔法とはまた違った爆発だった。爆虐魔法の爆発を爆弾のようだとするのならば、こちらはより現象的というか、んー例えるのならば火山の噴火だろうか。


 とてつもないエネルギーが圧縮され、その負荷に耐えきれなくなった結果として爆発する。そんな感じなのだ。


 まあ爆発の種類とかどうでもいいんだけどな。強いて言えば爆虐のほうは爆弾を強くすることで威力を上げるが、マテリアルの方はMPを込めれば込めるほど強くなる。まあ、本当に些細な差だ。結果は殆ど一緒なのだ。


 ッッドーーーーーーン!


 だが、物質にエネルギーを与える都合上、こちらの方が間があるようだ。これは使ってみなければ分からない差だな。


「うっ、」


 砂埃立ち、目に入り咄嗟に目を瞑ってしまう。砂埃無効とか獲得できないのだろうか。


 しばらく爆風が続き、視界が機能していなかったのだが、煙が晴れるとそこに広がっていたのは、見るも綺麗ないや見るのすら困難な程煌びやかで華やかな街並みが広がっていた。


 おいおい、ここに住んでる奴は全員成金なのか? どう考えても明るすぎだしもはや眩しい。普通に昼間よりも明るくないか?


 機械の野郎は自分自身も光沢があるくせに、周りにも光る物を配置したくなるのか。解せぬ。


「あ、」


 闇視と夜見付けっ放しだったわ。

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